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『白夜行』感想 原作東野圭吾の酷く切ない恋愛サスペンス ※ネタバレあり

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『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に続き原作東野圭吾の作品です。子供の頃に入り込んでしまった闇から抜け出せず罪を重ねていく男のサスペンス作品です。 

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作品情報

公開:2011年

時間:2時間29分

監督

主なキャスト 

 

唐沢雪穂(堀北真希)
西本雪穂(10才)(福本史織)

桐原亮司(高良健吾)
桐原亮司(10才)(今井悠貴)

桐原弥生子(戸田恵子) 

笹垣潤三(船越英一郎)

 

感想

何故こんなにも酷く切ない物語を書けるのだろうか?東野圭吾という作家の奥深さと言うのか凄さと言うのか、とにかく衝撃の作品です。

小説は随分前に読んでいて、映画は今回が2度目の鑑賞となります。TVドラマにもなっていましたね。

まず船越栄一郎、堀北真希、高良健吾の演技が光っていました。特に船越栄一郎はTVサスペンスよりもどっしりとした落ち着ち付きを感じました。その落ち着きがクライマックスで起こる感情の高揚の引き立て役になっています。言葉を丁寧に発しているところも印象に残りました。

雪穂と亮司の子供の頃の純粋な思い。それは初恋でもあっただろうし、友情でもあった。「一緒にいたい」、「楽しい」という気持ちは、互いの心の拠り所となって自然と結び付いていく。

その純粋な思いのまま闇の中に入ってしまい彼らの人生も心もその闇から抜け出すことが出来なくなった。父親を殺害したということに対しての罪の意識もまだわからない10才の少年少女です。恋愛感情というものの自覚出来ない年頃の子が闇に入ってしまったのです。未成熟な心だったため罪を犯したことで善と悪の社会的な処置を取る事が判らなかった。ただ、その行為を隠す事だけを必死に考えた。そして継続していく。

船越栄一郎演じる刑事笹垣がビルの屋上に座る亮司に言います。

「俺に父親代わりをさせてくれ」

子供の頃のあの時しか彼を闇から救ってあげる事は出来なかったのです。その言葉を聞き亮司はビルから身を投げ出します。

 

雪穂の亮司に対しての感情はどうだったのでしょうか?

亮司には全幅の信頼を置いていたはずです。絶対的な存在で愛する愛していないとかいう次元ではなく闇の中でしっかりと結ばれていた2人です。子供の頃にしみついた関係ですから理屈などないはずです。実の母親から大人の男に売られるという想像も出来ないくらいの辛い体験をしている雪穂は、愛というものを感じることすら出来きなくなっていたのでしょう。

自分の辛い体験は貧しさが原因だと捉え、社会的な地位を掴む事が彼女の人生の全てになり、それが亮司への恩返しになっていった。

では、亮司の気持ちはどうだったのでしょうか?

2人とも親からは愛情を注がれていなかったという点では同じでも亮司の家は雪穂の家と違い裕福でした。しかも雪穂の母にお金を貸している立場です。この関係は事件後の2人の関係に大きな影響を与えています。雪穂を傷付けていたのは亮司の父親だったため、亮司は雪穂を幸せにしたいという思いプラス償いの気持ちも多少なりとも入っていたはずです。常に表に出ないで闇の中で生活していたのもきっと償いの気持ちもあったからです。それは最後に叫んだ「全部自分が悪いんだ」と言う言葉でもわかります。恐らく自分の存在自体までも責めていたのではないでしょうか。

周囲の大人が理解してあげることも出来ない程の幼少時の辛い体験、そしてそこから形成されていく人格は深い闇へと落ちていく。唯一その事に気が付いた笹垣には、やるせない思いが溢れかえります。

「俺に父親代わりをさせてくれ」

と言う位に亮司に思いを深めていたのも亡くなった息子に重ね合わすことがあったからでしょう。

 

大人たちの悍ましい世界によって闇に引き込まれた2人は、闇から救い出されることはなかった。

亮司と出合う前から地獄のような日々を送っていた雪穂にとっては亮司と歩んだ闇はまだ明るい方だったのではないでしょうか。雪穂は飛び降り自殺をはかった亮司を見届け、自分の未来に進んでいきます。亮司の事は好きだったと思いますし、頼りにしていたはずです。しかしあの頃の貧しく酷い生活には絶対に戻れないし、そこから出来るだけ遠く離れるように生きていかなければいけないのです。

亮司と出合う前の闇は、真っ暗で亮司すら立ち入ることの出来ない世界だったのです。

韓国版

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この作品は韓国版『白夜行 白い闇の中を歩く』も公開されています。日本版と比較して脚色も多く韓国向けにアレンジされています。複雑な2人の闇を期待するなら日本版、雪穂(韓国版ではイ・ジア)の冷酷さを期待するなら韓国版になると思います。韓国版は男女のカラミが日本版より激しい形で描写されています。男性のタイプもガッチリとした俳優さんが演じています。大筋は同じでも全く別の撮り方がされています。韓国版はよりドラマチックに演出されています。

私は小説から入ったからでしょうか、日本版の重い感じが好みです。

予告動画

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白夜行 (集英社文庫)

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