シリーズ第5作目。スティーブン・スピルバーグ総指揮の子供から大人まで安心して楽しめるサスペンスアドベンチャー作品『ジュラシック・ワールド』。やっぱりIMAXでの鑑賞でしょう。
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作品情報
公開:2018年
時間:2時間8分
総指揮
監督
ジュラシック・ワールド 炎の王国 : 作品情報 - 映画.com
「ジュラシック・シリーズ」の魅力
1993年に公開された『ジュラシック・パーク』から続く『ジュラシック・シリーズ』。その魅力はなんと言ってもリアルな恐竜とその恐竜から逃げ惑う人間たちのハラハラドキドキの展開でしょう。子供から大人まで誰もが楽しめるサスペンスアドベンチャー作品。監督・総指揮を務めるのは スティーヴン・スピルバーグ。彼の作品は本当に安心して観れます。
この恐竜の皮膚なんかとても細かに表現されています。
「ジュラシック・パーク」
「現代に恐竜を蘇らせる。」この夢の実現は、次々と大きな問題を巻き起こします。第1作「ジュラシック・パーク」では、チョットした人的災害で、恐竜をコントロール出来なくなってしまい、人間たちに恐竜が襲い掛かります。結局はテーマパークのある島からの退去を余儀なくされてしまいます。第2作「ロスト・ワールド」では、野放し状態となった恐竜を確保して、今度はアメリカのサンディエゴで再び「ジュラシック・パーク」を開園しようと企て失敗に終わります。第3作「ジュラシック・パークⅢ」では、子供たちが恐竜たちがいるイスラ・ソルナ島に迷い込み、救出作戦が行われます。どの作品も巨大な恐竜が目の前に迫り人間を捕食しようとするのですから迫力満点です。
「ジュラシック・ワールド」
『ジュラシック・パーク』での幾つかの失敗にもめげず更に強力な恐竜を創ろうとするのが人間の悪しきところ。『ジュラシック・ワールド』では恐竜兵器の開発に着手してしまいます。ここでも最強恐竜、ハイブリッドTレックス「インドミナス」を檻から逃がしてしまいます。折角開園した恐竜のテーマパークも残念ながら閉鎖されます。荒れ狂う「インドミナス」からは、人間とのコミュニケーションを取る事が出来るラプトル、通称「ブルー」に助けてもらい、何とか撃退します。人間の味方が出現するのは必然的な成り行きでしょう。
テーマ
好奇心の赴くままに後先考えず行動に起こしてしまうのが人類です。新しい科学技術を探求して全て支配した気になっていても、その創造物に平和な日常が脅かされてしまう。よくある話です。この「ジュラシック・シリーズ」も遺伝子技術で恐竜を誕生させ、その恐竜によって人間が脅威を受けるという「よくある話」の1つです。
このように「よくある話」を恐竜を題材にして展開しているのですが、全く飽きがこないところがこのシリーズの素晴らしいところです。それは恐竜のリアルさと、スピルバーグの真骨頂ともいうべきテンポ良く訪れるハラハラドキドキな展開があるからです。
そして今作『ジュラシック・ワールド 炎の王国』でもドキッとするようなリアルな映像とハラハラドキドキ展開は健在で、それに加え新たなテーマ(課題)も登場します。
ハイブリッド型恐竜
今作でも試作段階ではありますがハイブリッド恐竜が登場します。密かに進められていた恐竜の売買事業が実現間近です。研究者たちの子供心が恐竜を生み、事業者たちの大きな欲望がそれを利用しようと大きく動き出します。
『ジュラシック・ワールド』
コミュニケーションタイプ「ブルー」(ラプトル)
ノドグロオオトカゲとナイルオオトカゲのDNAが組み込まれたラプトル。人間とのコミュニケーションが可能。飼育員オーウェンと意思疎通出来る。
ハイブリッド恐竜「インドミナス・レックス」(T・レックス型)
ラプトル + T・レックス + 様々な生物のDNA の新種のハイブリッド恐竜。
冒頭の海底シーンで採取されたのが、このインドミナスの骨。ここからDNAを採取して新たな最強に新種を作ろうとしている。
『ジュラシック・ワールド 炎の王国』
最強兵器「インドラプトル」(ラプトル型)
インドミナス・レックスとラプトルの掛け合わせで、とても攻撃的で世に出すには危険な個体。試作段階としてお披露目するが、買い手がついてしまう。ブルーの遺伝子と掛け合わせて人間とコミュニケーションが取れるものを開発しようとしていた。
「インドラプトル」は、それほど大きい恐竜でないので家の廊下も通る事が出来ます。一旦「インドラプトル」に追われると逃げ場がなくなります。
感想
相変わらずの展開です。他の映画サイトのレビューでは評価が良くなかったので心配でしたが、予想以上に面白かったです。
人類の新たな課題
今作では、新たなテーマが盛り込まれます。それは遺伝子操作の技術を恐竜でとどまらず人間にも行ってしまったという事です。そうです。クローン人間です。例えクローンでも生まれてしまえば通常に人と同じ心を持ちます。自身がクローンであることを知った時のクローン少女の感情、また周囲に人たちの対応など考えさせられるところです。まだ幼い少女に自分がクローンである事を突き付けるとは何とも残酷なストーリーです。
人という生き物は、創造の力を持っています。その創造は、未来に向けての光を与えてくれます。しかし、同時に闇も作ってしまいます。
サブタイトル
ここでちょっとサブタイトルについて言及しておきます。邦題のサブタイトルは「炎の王国」です。ここからイメージすのは火山の噴火によって恐竜の国が崩壊したというところですが、原題のサブタイトルは「 Fallen Kingdom(堕ちた王国)」です。これは遺伝子操作で恐竜ビジネスを巨大化させてきたロックウッド家を指しています。傲慢な人間が自ら策略によって足元から崩れ落ちる様子を描いています。ロックウッドの最期は悲惨なものでした。原題の方がしっくりきます。邦題は子供を意識したのでしょう。
驚きの結末
そして最後の結末は意外でした。
ロックウェルの屋敷も火災になり、中にいる恐竜たちも、これで終わりかというところで思いがけない結末が待っています。
「例え人工的に創った命でも我々と同じように尊いものである。」
何か疑問を投げかけられた気になります。
結局恐竜たちは人間たちが住むエリアに開放される事になります。
ここからどう展開するんだろ?恐竜と全面戦争なんて有り得ないし、やはり確保して何処かに閉じ込めるのだろうか?
余計な心配ですが、続編が難しくなるんじゃないかなと少し不安が走ります。ただストーリーはどうであれ遺伝子操作で好きな恐竜を創る事が出来るので、次作はどんなハイブリッドな恐竜が登場するのかというのを楽しみにしています。
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以前書いたまとめ記事です。
同じスピルバーグ作品でロボットが自我に目覚める、ちょっと切ないお話です。