望みの記憶を売っている未来。現実とは何なのかをチョット考えてしまう作品です。1990年のアーノルド・シュワルツネッガー『トータル・リコール』のリメイク版です。
作品情報
公開:2012年
時間:1時間53分
監督
『アンダーワールド』の監督さんです。
主なキャスト
原作 フィリップ・K・ディック
多くのSF作品の原作となっていあます。私の観た作品は以下のものです。
ブレードランナー(1982年)
トータル・リコール(1990年)
マイノリティ・リポート(2002年)
NEXT -ネクスト-(2007年)
トータル・リコール(2012年)
1990年のアーノルド・シュワルツネッガーの『トータル・リコール』とは内容が少し変えられています。
あらすじ
21世紀末の世界大戦により人類は大量の化学兵器を使用した。その結果地上の大半は居住不可能となり富裕層はヨーロッパを中心としたブリテン連邦(the United Federation of Britain、通称UFB)に住み、貧困層は反対側のオーストラリアを中心としたコロニーに居住する事になり、コロニーの住民はUFBの労働力の為にザ・フォールと呼ばれる巨大なエレベーターに乗りUFBに通勤し働いていた。やがてUFBからの独立と解放を目的とするリーダーのマサイアスを中心としたレジスタンスと呼ばれる反体制派のテロ活動が盛んになり、UFB代表のコーヘイゲンはロボット警官のシンセティックの増産を唱える。
感想
シュワルツェネッガーの作品は1990年制作なので、その22年後に制作した作品となります。22年前に、このような人間の記憶を入れ替えるという発想の作品があったというのは素晴らしいと思います。原作 フィリップ・K・ディックの想像力の豊かさには驚かさます。
シュワルツェネッガーの作品を観たことがある人なら今作を観賞中に何度もシュワルツェネッガーの表情が思い浮かべたことだろうと思います。作風も随分と変えているのですがシュワルツェネッガーの大げさな表情(演技)のインパクトが強くどうしてもそっちの方にイメージがよってしまします。まぁー最初に観たというのもあると思いますが、コリン・ファレルとシュワルツェネッガーがタイプが異なることもあり、余計に比較してしまうのかもしれません。
セットや美術は申し分なくカッコよく洗練されたものになっていて、都市の空間なども3次元の移動空間(上下の移動も可能)になっていて、もう人間の思うがまままの移動が出来る感じの未来となっています。1990年版と大きく異るところは労働者が住んでいるところが火星ではなく地球上になっているというところです。(主人公クエイドは火星へのあこがれは持っているのですが)そして、驚くことに地中をフォールというエレベーターのような大きな昇降機で富裕層が住むブリテン連邦(ヨーロッパ)と貧困層が住む地域(オーストラリア)とを結んでいるところです。地球の真ん中を通り抜ける訳ですからコアでは重力が反転するという現象も描かれています。大画面で観るともっと迫力を感じることが出来たのに家のTVではチョット残念です。
他に描かれていた未来像は
・胸が3つある整形技術
・蛍光のタットゥー
・手のひらに埋め込まれた携帯電話
・携帯電話からガラスに映し出される映像
・磁力で空中を浮く自動車・エレベーター
・首輪式変装用カムフラージュ装置
・縄のように対象者を捕獲する電子銃
などなどです。これだけでけでも楽しめますね。
ストーリーですが、人間の記憶を書き換える技術があり、主人公クエイドの過去が偽の記憶にすり替えられています。人間というのは記憶から判断し、今を行動しているのでそんな技術があればいろいろと問題は起きそうです。流石に自分自身の記憶が変えられるのはイヤですねー。強いトラウマがある人とかの治療にはいいのかもしれません。でもなんだかの副作用はありそうです。
リコール社でクエイドが聞かされたセリフです。(和訳を抜粋)
「現実とは脳の科学的認識であり目で見たものに脳内物質が反応する。ここでは直接脳を刺激して反応させる。現実とは変わりない。」
なるほどなと思ってしまった。
現実も過去も脳内で築かれたものなので、ある意味仮想の世界なのかー。確かにそうなんだけれども、我々はふれ合いというものがあるから違うんだぞ!と言いたい。
SF作品なんだけれども深く読み解けば哲学的なテーマが込められた作品なのかなと感じました。