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映画 『A.I』感想 原案キューブリック、監督スピルバーグ ※ネタバレあり

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 映画『A.I.』を観ました。監督スティーブン・スピルバーグ、原案スタンリー・キューブリックという驚く組み合わせの映画です。

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(C)2001 Warner Bros. & Dreamworks, LLC.

eiga.com

作品情報

・公開:2001年

・時間:2時間26分

・監督

言うまでもなくハリウッドのヒットメーカーです。SF、子供と来れば得意なところですが、本作は原案がキューブリックということで賛否両論だったようです。

・主なキャスト

 『ペイ・フォワード』、『シックス・センス』で人気子役になったハーレイ・ジョエル・オスメント。上記の写真をみると当たり前ですが大人になりました。ジュード・ロウは、『ガタカ』では遺伝子の提供者をしていました。『ホリディ』、『シャーロック・ホームズ』など多くの作品に出ています。

あらすじ

地球環境の問題から出産制限がかけられた未来、感情をもつ子供型ロボットのデビッド(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、冷凍保存状態の子供を持つ家庭に子供の代役として来ることになった。自我を持ち人間の子供同様に育てられるデビッドは母親であるモニカの愛情を強く求めるようになる(そうプログラミングされている)。しかし、ある日冷凍保存されていた本当の子供マーティンが奇跡的に回復を遂げ、一緒に暮らすようになる。モニカは当然のように本当の自分の子供マーティンをロボットであるデビッドより大切にするようになり、いくつかの事件からデビットを森に捨てることとなる。デビッドは人間になればモニカに愛されると信じセックス・ロボットのジョー(ジュード・ロウ)の付き添いで人間になる為の旅を始める。

製作のいきさつ

元々は、スタンリー・キューブリック監督の企画であったが、キューブリックが死去したため、スティーヴン・スピルバーグによって監督された。ただしクリスティアーヌ・キューブリックとスピルバーグ本人によると、キューブリックは元々監督をスピルバーグに任せ、自身は製作に回る予定だったとのこと。その後スピルバーグは監督を任せるとキューブリックに言われたとき1度は断り、キューブリックが監督することになったという。

 A.I. - Wikipedia

 

感想

さすがスピルバーグという感じです。ストーリーの展開がスムーズで音楽の効果も心地いいです。セックスロボットが出てくるところはキューブリックらしいなと思いました。

モニカがデビッドとの別れを決心するきっかけとなったのは、家族に危害が加わる可能性があることからでした。1つはマーティンのけしかけからモニカが寝ている時に髪を切ったこと、もう1つはプールサイドで近所の友達にからかわれ恐怖を感じたデビッドはマーティンにしがみつきそのままプールに落ちて危くアーティンを殺しそうになったことです。やはり人間とは違い11歳から成長しないということと所詮ロボットであるということは家族にとって負担になってきたのです。

人間の姿をしていないロボットであったなら問題なかったかもしれないですが、特に子供の世界では人間そっくりだと余計に興味を抱かれ弄られてしまいます。弄らえると感情がコントロール出来なくなってご動作を起こします。

人間そっくりなロボットを必要とし、そっくり過ぎて必要以上に注目を浴びせてしまう人間の方にも問題があるのかもしれません。

 

デビッドは起動したときに最初に見たモニカを母親と認識し永遠にその愛を求めます。モニカに捨てられてからも人間になればマーティンと同様の愛情を受けられると考えます。そしてロボットを人間にしてくれる「ブルー・フェアリー」のところへ向かいます。

ラストでは、既にモニカがこの世にいなくなった遥か未来であるにもかかわらず、デビッドは人間になってモニカに愛されることを求めます。

デビッドの愛を求めるという思いは人間も同様で、しかも大人になってからの行動の原点も子供の頃のその思いからだということを原案者のキューブリックは言いたかったのではないだろうか?子供の頃に親の愛を求めるために形成された人格がそのまま大人になるということを。ただ人間は、大人になる過程で愛を与えるという思いがプラスされていきます。ジュード・ロウ演じるセックス・ロボットは愛を与えることに特化したロボットです。

求める愛と与える愛を成長しないロボットで表現しているように感じます。人はその両方を兼ね備えていて成長過程で2つのバランスが変化しているように思います。

結局はロボットや人工知能というのは創造している人間そのものなんですよね。映像はスピルバーグですが、内容はキューブリックというちょっと異例な作品です。スピルバーグ作品として観るより、キューブリック作品として観る方がいいでしょう。

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