キネマの館(ヤカタ)

映画 いくつもの感動と出会い

映画『ハドソン川の奇跡』感想・事故映像あり コンピュータ社会の盲点「人的要因」 ※ネタバレあり

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『ハドソン川の奇跡』をIMAXで観てきました。実話をもとに飛行機事故の裏話が描かれています。トム・ハンクスの名演とコンピュータ・シミュレートとの戦いが見どころになっています。

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(C)2016 Warner Bros. All Rights Reserved

作品情報

公開:2016年

時間:1時間36分

監督

eiga.com

主なキャスト

eiga.com

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あらすじ

2009年のアメリカ・ニューヨークで発生した航空機事故を、チェズレイ・サレンバーガー機長の手記「機長、究極の決断 『ハドソン川』の奇跡」をもとに映画化。

2009年1月15日、乗客乗員155人を乗せた航空機がNYの上空で鳥の群れとぶつかりエンジンが停止してしまう。機長のサリー(トム・ハンクス)と副操縦士ジェフは必死に機体を制御し、空港への着陸を諦めハドソン川に着水する。マイナス2度という寒い気温の中、無事乗客全員の救出に成功する。サリー機長は英雄として称賛されるが、国家運輸安全委員会から判断に誤りがあったのではとの疑いをかけられる。

どういう事故だったのか?

USエアウェイズ1549便不時着水事故(USエアウェイズ1549びんふじちゃくすいじこ)は、2009年1月15日午後3時30分頃(東部標準時(UTC-5))に、ニューヨーク発シャーロット経由シアトル行きのUSエアウェイズ1549便が、ニューヨーク市マンハッタン区付近のハドソン川に不時着水した航空事故である。

USエアウェイズ1549便不時着水事故 - Wikipedia

原因となった鳥はカナダガン で、機体は着水から1時間で水没したそうです。着水4分20秒後に通勤フェリーが現場に到着しているそうです。早いですね。マンハッタンという都会だったことが救出の速さにつながっています。

実際の動画がありましたので載せておきます。

着陸後から10分までの動画です。

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こちらは、ニュースの総集編です。

youtu.be

感想

トム・ハンクスの名演を観ることが出来ました。国家運輸安全委員会から調査され不利な情報が入ってきてからの緊張感ある表情は見事です。実際の機長と副機長の写真を見るとよく似せているなと思います。米国では機長は有名人で多くの人に顔も覚えられているので似ていないといけないですね。

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USエアウェイズ1549便不時着水事故 - Wikipedia

この事故は日本でも何度もTV放映されています。まさか空港に戻れたのではないかという疑惑がかけられたとは思っていませんでした。疑惑のキッカケはコンピュータに残るデータが左エンジンが稼動していたことを示していたからです。結局そのデータは誤りだったのですが、本当に迷惑な話です。疑惑をかけられるもう一つの理由は保険の問題です。機長の判断ミスとなれば保険会社の支出も変わってくるので裏では保険会社も必死に動いていたのではないでしょうか。飛行機一機分と諸々とになると大きいですね。この辺りはあまり詳しくは描かれていませんでした。

人はコンピュータの結果を信頼する

作品の焦点は、国家運輸安全委員会の判断基準が帰港出来たというシュミレーションの結果の方を優先させ機長の判断に強く疑いをかけてしまうところです。緊急事態発生時は人も通常の精神状態であるわけではないので、判断スピードが遅くなり、ミスの発生も多くなります。この事故では機長は経験豊富だったこともあり適切な判断が出来ましたが、もしそれだけの経験・精神力のない人だったらどうだったのでしょう?ハドソン川に着水して生還してもシュミレーションの結果に負けていたかもしれませんし、管制塔の指示に従い大惨事を起こしていたかもしれません。また、コンピュータのデータの誤りが証明出来なかった場合はどうなったのでしょう?考えると怖くなります。そこには白黒をはっきりさせないといけないという現代社会の仕組みが問題になっているように思えます。白黒はっきりさせるのはコンピュータの得意分野です。そしてその仕組みは個人や弱者に不利に働くことが多いのではないかと思います。

公正でない検証

作品中、空港に帰れたかどうかの検証シュミレーションで見事帰れることが出来きてしますのですが、そのために練習を17回行ったと言うのです。人的要因が抜けているということで判断までの時間として35秒を追加して再度検証してもらい、やっと帰れないことが証明されるのです。現実は練習なんて出来ないですし乗客の人命もかかっていて緊張感が全く違います。17回も練習していること自体、機長のせいにしようとしている意図が丸見えです。許しがたい行為です。

人の判断は重要

コンピューターに管理される時代が急速に訪れようとしていますが、重要なところの判断はやはり人がすべきですし、判断に誤りがあった場合でも何らかの救いの道は用意しておかないといけないのでしょう。窮地に追い込まれそこから奇跡を起こしたとしても今回の様に疑惑をかけられてしまと、その後も精神的なダメージは残ると思います。人の心を傷つけないようなプログラムが必要です。

明日は我が身

自動車の自動運転技術が進化を遂げ実用が目前に迫っています。事故が発生した場合、初めにコンピュータのデータ解析が行われ調査が進められることでしょう。事故の当事者の発言とデータ解析の結果が異なっていた場合にどちらを正とするのかということが大きな問題になってきます。コンピュータの虚偽によって追い込まれることがあるのかもしれません。バグはなかなか発見できないものもあります。コンピュータの虚偽を明かすには大変は労力が必要となる場合があります。

 

まとめ

私が長年コンピュータの仕事をしてきたせいもあり、非常に興味深い内容でした。コンピューター化がどんどん進む中、自分の作業に関して自分の意と反して悪者扱いされた方もいるのではないかと思います。(「ログの方がが正しい」という考え方で)今作品では人的要因の考慮が1つのポイントとなっています。今後、様々な事柄の判断材料としてコンピュータのデータが使われることが多くなってきます。人的要因の考慮なしで個人を追い込むような事はますます起こりやすくなるのですが、決してあってはならないことです。今作品のように勇気をもってその誤りに対抗しないといけないのです。そういう意味で、今作品は今のコンピュータ社会にとってのいい教訓になったのではないかと思います。

予告動画

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