キネマの館(ヤカタ)

映画 いくつもの感動と出会い

『インビクタス 負けざる者たち』感想 ネルソン・マンデラの平和への想いに感動 ※ネタバレあり

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心に響く実話映画でした。年に何本もの映画を観ていますが、「観て良かった。」と本当に思える映画は数本です。この作品はその一本にあたります。

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作品情報

公開:2009年

時間:2時間14分

監督

主なキャスト

ネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)

フランソワ・ピナール(マット・デイモン)

ピナール(パトリック・リスター)

ピナール夫人(ペニー・ダウニー)

ジェイソン・シャバララ(トニー・キゴロギ)

リンガ・ムーンサミ(パトリック・モフォケン)

ヘンドリック・ボーイェンズ(マット・スターン)

感想

南アフリカはラグビーが強いというのは、大半の日本人は知っていることと思います。前回のラグビーワールドカップで日本が南アフリカから奇跡の勝利を収めたことは大きくニュースて取り上げられました。その南アフリカチームにこんなに素晴らしい過去があったとは思ってもいませんでした。ただ単に強さを求めたチームではなく国の為に強くならないといけなかったチームだったんです。

南アフリカという国はアパルトヘイトという人種による分離的政策を1980年代後半まで行っていました。それは国際的な経済制裁によって、崩壊していくのですが、1994年に反アパルトヘイトの革命家として27年間服役していたネルソン・マンデラが大統領に就任します。今作品は、ネルソン・マンデラが大統領に就任してからラグビー・ワールドカップの優勝で白人と黒人の距離を近づけ、国を一つにまとめるまでを描いたものです。

監督はクリント・イーストウッドで総指揮はネルソン・マンデラを演じているモーガン・フリーマンです。なんとモーガン・フリーマンには、ネルソン・マンデラから自身を演じて欲しい俳優としてご指名があったという事です。

クリント・イーストウッドとモーガン・フリーマンのコンビはこれ以外に『許されざる者』、『ミリオン・ダラーベイビー』と、どれも素晴らしい作品を製作しています。

マット・デイモン演じるラグビーチームのキャプテンのピナールは、とても賢明なキャプテンで大統領の目指す方向、ラグビーに対しての期待をしっかりと把握して、その要望に応えていきます。マット・デイモンは、ラグビー選手という役作りを肉体改造と伴に見事にこなしています。この作品ではボーン・シリーズのような陰の部分が一切ありません。こういう役柄も出来たというのは驚きでした。

タイトルになっている「Invictus」は、ラテン語では「征服されない」「屈服しない」を意味するとのこと。ネルソン・マンデラの人生そのものを表す言葉です。ネルソン・マンデラの「屈服しない」「諦めない」という意志がラグビーチームを優勝に導いていくのですが、そこには大きな大きな平和への想いが込められていたのです。これ程価値のある期待を掛けられ、選手にはこの上ない喜びだったと思います。

 「紳士がやる野蛮なスポーツがラグビー、野蛮人がやる紳士なスポーツがサッカー」

南アフリカでは白人はラグビー、黒人はサッカーと完全に分かれていました。ラグビーの国際試合があると隔離政策で白人から苦しい生活を強いられている黒人は自国のチームではなく他国を応援したそうです。富裕層である白人たちは黒人の安い労働力で裕福な暮らしをし、アパルトヘイトの恩恵にあずかっていました。このように分断された国を一つにまとめる為にマンデラは白と黒の対立の象徴であるかのようなラグビーで国を一つにまとめようと考えたのです。自身が長くにわたり白人から差別されてきたことを水に流したのです。そして赦すことの大切さを黒人たちに訴えたのです。

ニュージーランドとの決勝戦の映像はスクラムの時の選手の荒れた息づかいなど細かく描写され臨場感たっぷりです。実際の試合の流れもこの映画のためにシナリオがあったのではないかと疑いたくなるくらいの白熱した接戦です。それらのポイント、ポイントをしっかりとクローズアップしてその熱戦を作品は捉えています。

南アフリカが勝利した瞬間、白人と黒人が手を取り合って喜びを分かち合います。感動のシーンです。実際のスタジアムでの感動はどれ程のものだったかと思うと、こちらも熱いものが湧き上がってきます。

1995年ラグビーワールドカップ、開催地南アフリカ、優勝は初出場の南アフリカ。これだけでも偉業と言ってもいいくらいなのにアパルトヘイトという暗い歴史に未来の光を差しむけるという、もう一つの偉業をやってのけたのです。

ネルソン・マンデラは1993年にノーベル平和賞を受賞しています。そういう偉人の魅力をラグビーワールドカップを題材にして存分に描いている作品でした。そして益々ラグビーが好きになりました。

予告動画

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イースト・ウッドは『ハドソン川の奇跡』でも忠実に実話を再現していましたが、今作品も同様にしっかりと再現されています。

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