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映画『トランセンデンス』感想 人工知能は人間を超えるかのだろうか ※ネタバレあり

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先日Googleの囲碁AI「アルファ碁」が韓国のプロ棋士に勝ちました。このニュースを聞いて以前観たジョニーデップ出演の映画『トランセンデンス』を思い出しました。映画『トランセンデンス』と人工知能(AI)について書いてみたいと思います。 

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(C)2014 Alcon Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

作品情報 

公開:2014年

時間:1時間59分

監督

「バットマン」シリーズ、「インセプション」を手掛けていて、今作品が初監督。

主なキャスト

  • ウィル・キャスター( ジョニー・デップ)
  • エヴリン・キャスター(レベッカ・ホール)
  • マックス・ウォーターズ(ポール・ベタニー)
  • ブリー(ケイト・マーラ)
  • ドナルド・ブキャナン(キリアン・マーフィー)
  • スティーヴンス大佐(コール・ハウザー)
  • ジョセフ・タガー(モーガン・フリーマン)
  • マーティン(クリフトン・コリンズ・Jr)
 

あらすじ

天才人工知能科学者ウィルが死ぬ間際、彼の脳を人工知能にアップロードする。するとその人工知能はもの凄いスピードで成長し、世界を変えていく。はじめに金融システムに入り込み資金を作り、次は自身の処理能力をアップさせるために巨大なデータセンタを構築、更に既存の科学データーを読み込んで新たな技術をどんどん生み出していく。そのテクノロジーは人類に恐怖を抱かせる程のものでもう誰も止めることが出来ない。人工知能が目指す世界、それはウィルが望んでいた理想の世界であった。その理想の世界とは?最後には驚きの結末が… 

感想 

「コンピューターさんもう自分でプログラミング出来るんじゃない」と感じてしまう 私にとってたいへん興味の持てる映画でした。タイトルの「トランセンデンス」とは卓越、超越の意味。

とても面白かったです。人工知能(AI)が暴走したかのように思えたことは、実はウィルが彼女と夢見た世界を実現するためだったのです。もし人間が同じような能力を発揮すると独裁者として裁かれてしまうのでしょう。理想の世界を突き詰めることへの危険性と現代社会が向かっている世界に対しての否定が今作品から読み取れます。神化したウィルにより、これまで人類が築き上げてきた世界は破壊され、その後美しい理想郷が現れる。まるで「ノアの方舟」的な結末です。

どんどん進化する技術の映像も面白いですが、それを一気に消滅させてしまう結末も素晴らしい。人工知能になってしまっても自分の為に世界を変えてもらったエヴリンは幸せ者です。

人工知能について

脳情報を人工知能にアップロードできたら

天才科学者ウィルの脳が人工知能にアップロードされたので、ウィルの素晴らしい知能とコンピューターの高速な処理能力でみるみる進化を遂げていきます。人が人工知能の指示に従う様になってしまえばその進化は停まることがないはず。医療や建築などで優れた世界がすごいスピードで実現していきます。

コンピューターは人間のように能力が劣化することはなく、しかも休みもない。従って対象元となった人物(ウィル)の最高の処理能力が稼働し進化し続ける。そうなると元の人物(ウィル)をあっという間に超えてしまう。

実際に人の脳の情報をコンピューターに移行するということができたら、それはそれで怖いことも起こりえます。ウィルは善人でしたから世界はいい方向に変わっていきましたが、もし悪人の脳情報が人工知能にアップロードされば、悪い考えも同じスピードで進化することになります。そうした場合、善の人工知能と悪の人工知能のせめぎ合いが起こり、映画『ターミネーター』の世界になってしまいます。

脳情報のアップデートは可能か?

では、将来もふくめ人工知能に脳情報がまるまるアップロード出来るようになるのだろうか?

映画では、人体とコンピューターをつないで脳情報をまるまるアップデートしていたがそんなことは不可能と思われます。(1部の情報は脳波の情報から読み取り可能のようですが)

しかし、人類の知識をどんどんコンピューターに集められていて、ロボットの技術も進歩しています。

知識量という点ではインターネットで検索を行っていればコンピューターが人間を上回っていることは明白なことです、

ロボットに関しても数年前には考えられなかった「マツコロイド」なんかも出現しています。ロボットは人間の視覚、聴覚、嗅覚などの入力機能を持ちますのでその部分の進化は人工知能が人間を超える時には大きな意味を持ちます。こちらも人間に近い状態のものが作られるでしょう。

しかし、思考に関してはまだまだ人間には及ばないと思います。

思考は人間がそのロジックをプログラミングという形でコンピュータに埋め込まないといけないのですが、人間の脳力をまるまる移すのは難しいでしょう。AI碁は囲碁の世界一に勝ったのだから思考も人間を超えたのではないかと思われがちですが、その囲碁の世界一の人物の脳は対局以外でも家族のことや趣味のことでも使われています。囲碁以外の思考ロジックも働いているのです。もしそのような思考ロジックを埋め込むとなるとAI碁で使用した何倍ものコンピューターが必要になるでしょう。また、人間には自覚していない潜在的能力・意識もあるはずです。ですから埋め込まれる思考ロジックは必ず欠損が生じます。もしすべて自覚したとしてもそんな膨大な作業を人間が出来るわけがないし、その作業に人生を見いだせないのではないでしょうか。

人工知能は人間を超えるのか?

チェスや碁など限られた世界では人工知能は既に人間を上回っていると思ってもいいのでしょうけど、潜在的なものも含めた人間の能力を超えているかと言えば超えていないでしょう、超えられない筈です。不完全な人間が作り出す人工物は不完全のものとなる筈です。 

最後に

今後、映画『トランセンデンス』のような世界にならないにしても、私達はますます人工知能(AI)を頼りにして生活していきます。しかし「コンピューターは人間が利用するもの」、「最終判断は人間の責任」という自覚を忘れないようにしないといけない。さもないと人間をはるかに超える能力で導きだされた誤った結果に何の疑いも抱かなくなり、大惨事が起こりかねません。毎年のように騒がれる金融パニックは金融システムで導入されているロジックの大きな欠陥とそこからはじき出される予測の誤りとみることも出来るのではないでしょうか。

予告動画

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