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映画 いくつもの感動と出会い

『ALONE アローン』感想 一歩が踏み出せないあなたへ ※ネタバレあり

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とてもユニークな作品です。主人公が兵士ということでアクションを期待してしまうのですが、ほとんどが砂漠で身動きできない主人公の心理を描いていきます。

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作品情報

公開:2016年

時間:1時間46分

監督

ファビオ・レジナーロ

主なキャスト

Wikipedia

ALONE/アローン - Wikipedia

あらすじ

テロリスト暗殺のミッションに失敗したアメリカ兵マイクは、3000万以上もの地雷が埋まる土地に足を踏み入れてしまう。仲間はマイクの目の前で爆死し、彼自身も地雷を踏んで絶体絶命の窮地に立たされる。援軍が到着するまでの52時間、1ミリたりとも動くことのできないマイクは、次々と押し寄せる自然の脅威や、過去のトラウマからくる激しいフラッシュバックに襲われ続け、極限状態に追い込まれていく。

ALONE アローン : 作品情報 - 映画.com

 

感想

徹夜明けの疲れた状態での観賞でしたが、最後まで飽きることなく観ることが出来たので満足しています。人生で思い悩むところがあり、そこに留まっている人が観ると良い作品です。

新たな拘束映画

狭い空間に閉じ込められたスリラー作品はよくありのですが、今作は砂漠という広大な空間で身動き出来なくなるというもので、とても斬新に感じます。

自身を傷つければ拘束から逃れるという究極の状態です。

目が離せない展開

マイクとトニーの任務はテロリストの殺害。マイクは、本部からの殺害指令を受けますが、結婚式の最中という事もあって躊躇してしまいます。その結果、計画を断念し失敗してしまいます。挙句に敵に見つかってしまい、追われる身になってしまうのです。

冒頭から目が離せない展開が続きます。

スナイパーのマイク(アーミー・ハマー)の上品で精悍な顔のアップが幾度となくスクリーンに映されます。物静かで繊細な心の持ち主であるマイクの心情がとても良く表現されています。アーミー・ハマーファンの方には違った意味で目が離せなくなります。

MINE(地雷)、ALONE

追ってから逃れ、後もう少しで村に辿り着くというところでマイクとトニーは地雷原に踏み入ってしまいます。

地雷原を示す立て札を見て心配するマイクでしたが、それとは対照的にトニーは気にすることなく歩み進んでいきます。そして、トニーは地雷の餌食になってしまうのです。

負傷したトニーを助けるべきマイクですがマイク自身も左足でしっかりと金属物を踏み占めていました。

ここでの負傷して何んとか助かろうとするトニーの映像が、痛々しくちょっと気持ちが悪くなりました。(負傷兵の映像は慣れるものではない)

そして、ここからマイクは砂漠の中で一歩も動けない状態で援軍が来るまでの52時間を過ごすことになるのです。

ALONEの始まりです。

実はこの映画、『アローン ALONE』は邦題で原題は『MINE』なんですね。

MINEは、「私のもの」、「私の家族」という意味ですが、「地雷」という意味もあります。

謎のベルベル人親子

ALONE状態でマイクは、ベルベル人の親子に助けられます。

自分が一歩も歩けない地雷原をその親子はジグザグで自由に歩行します。

そして地雷を踏んでしまって一歩も動けないマイクに「何故家族のところに帰らないのか?」と問い掛けます。

この辺りからベルベル人の問い掛けが私に対しても心に響いてきます。

「もし自分が地雷を踏んでしまったらマイクを同じ行動をするだろう」

「マイクの行動や判断は間違っていない」

「このベルベル人は何を言っているんだ」

まんまとこの作品の罠にハマっていきます。

一歩踏み出せない自分

いつの間にか地雷を回避して生き延びる方法をマイクの身になって考えている自分がいます。当然そうなってくると次々訪れる危機に対しても感情移入していきます。

更にベルベル人は、マイクに「一歩踏み出せないのではなく、一歩踏み出さないのだろう」と詰め寄ります。冷静沈着のマイクも混乱しだします。

昼は炎天下、夜は凍える寒さにオオカミの襲撃、そして砂嵐と容赦なく身動き出来ないマイクに自然の脅威が襲いかかります。

マイクはこの極限状態で父親に対するトラウマや母とのお別れ、愛する彼女との出来事が脳裏によみがえり、生きる望みも薄れていきます。

過酷な状況下で援軍が近くを通過する時まで何とか生き延びたマイクでしたが、自分の居場所を知らせる発煙筒が手の届く位置にありません。どうしても一歩踏み出さないといけない状況に迫られます。

(一歩踏み出すことが出来れば、片足を失うことになるかもしれないが生きる事が出来る)

地雷を踏んでしまったという緊迫感を描いていたものが、いつの間にか「何故次の一歩を踏み出すことが出来ないのか?」という恐怖心に支配されている心理状態を描いているものとなっていきます。

解りやすいオチ

最後は大きなオチがあるのですが、残念ながら途中で気付いてしまうものでした。それは、これから観る人のお楽しみとしてここでは明かしませんが、このオチが分からないと作品が全く面白くなくなってしまうので、寝ないで観るようにしましょう。

まとめ

何かに踏み留まっていて次の一歩が踏み出せない人には心が軽くなる作品だと思います。勇気や元気を貰うといのとは違い考え方ひとつでその悩みは解決するよという教訓のようなものを感じ取る事が出来ます。

人生を見つめ直し新たな再スタートを切るためにはいい作品ではないでしょうか。

ただ、地雷を踏んでしまった時自分はどうするのかと考えるとマイクを同じようになる気がしてならないです。

予告動画

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