SFスリラー『エイリアン』(1979)の20年前の前日譚をリドリー・スコットがメガホンを取っての作品です。
作品情報
公開:2017年
時間:2時間2分
監督
主なキャスト
AI
コヴェナント号のAI:マザー(ローレライ・キング)
アンドロイド
プロメテウス号のアンドロイド:デヴィッド(マイケル・ファスベンダー)
コヴェナント号のアンドロイド:ウォルター(マイケル・ファスベンダー)
ジェイコブ夫妻
船長:ジェイコブ・ブランソン(ジェームズ・フランコ)
人類移住計画の責任者:ジャネット・ダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)
オムラ夫妻
副官:クリス・オラム(ビリー・クラダップ)
生物学者:カリン・オラム(カルメン・イジョゴ)
テネシー夫妻
チーフパイロット:テネシー・ファリス(ダニー・マクブライド)
パイロット:マギー・ファリス(エイミー・サイメッツ)
リックス夫妻
操縦士:リックス(ジャシー・スモレット)
通信士官:アップワース(キャリー・ヘルナンデス)
今作品では、パートナー同士の乗組員が多かったです。
感想
リドリー・スコットが『エイリアン』の前日譚を撮ると知って、この作品の公開を楽しみにしていました。しかしネットのレビューを見てみると評価が良くない。そんな事もあり今回は不安な気持ちを抱えながらの鑑賞となりました。
この作品を観る準備として『エイリアン』と『プロメテウス』をしっかり観ていた事でそれなりに楽しめました。どちらかと言えば『プロメテウス』との関連が強かったです。『プロメテウス』を観ていなかったらつまらないかたんじゃないかな。
『プロメテウス』から『エイリアン』の舞台となった年代は以下のようになります。
『プロメテウス』(2089~2094)
『エイリアン コヴェナント』(2104)
『エイリアン』(2124)
今作品は『プロメテウス』の10年後で『エイリアン』の20年前の物語です。
作中何度もプロメテウス号の事が出てきます。『プロメテウス』から今作までの10年間の秘密を握るのは『プロメテウス』でエイリアンの生命力を完璧と賞賛したアンドロイドのデヴィッドです。ですから『プロメテウス』は観ておくべきでしょう。
ここで『プロメテウス』の内容を振り返ってみます。
2089年にエリザベス・ショウ博士が古代遺跡の壁画にその当時の人類が観測不能な遠い距離にある星図を描いていることを発見する。博士はその星は人類の創造主がいる星と推測し、ウィンランド社の探査船「プロメテウス号」でその星へ旅に出る。ウィンランド社のオーナーは自身の残り少ない命を何とか延命したいと願っていた。そこで人類の創造主を見つければ延命のヒントを見つけ出せると考えショウ博士の仮説に望みを託すこととなる。
4年の歳月をかけたどり着いたその星には、人類を創造したエンジニアの痕跡はあるものの何者かによって殺されている状況だ。調査を進めるうちにエンジニアたちは自分たちが創り上げた生物兵器に殺されたことがわかってきた。そしてその生物はなんと人類を絶滅させる為に創った生物兵器だった。
乗組員たちは繭から孵った生物兵器エイリアンと唯一生命維持装置で生き延びていたエンジニアに次々に殺されていく。エンジニアが起動した宇宙船が地球に向かうと人類が滅亡することを知った船長は船ごと自爆し、それをなんとか阻止した。
そして最期に一人生き延びたショウ博士とアンドロイド・デヴィッドは人類の創造の謎を解くためにエンジニアの母星を目指し飛び立った。生命力というものに興味を持つデヴィッドはエイリアンのその力に惚れ込み愛するようになっていた。
では、『プロメテウス』を観れば楽しめるのか?というとそうではなく、『エイリアン』と同等なスリルを感じたい人には刺激が足りない気がします。確かに体を突き破って内部から出てくるエイリアンの映像は40年近い前の『エイリアン』の映像と比べると、よりリアルで目を見張るものがあるのですがCGが進化した現代では、他の作品でも同じようなリアルなシーンを観ることが出来きインパクトに欠けます。また、あの『エイリアン』のドキドキする演出を超えることは、監督のリドリー・スコットが挑んでもそう簡単ではありません。彼自身それを望んでいたとも思いません。ですから、「エイリアン」、「リドリー・スコット」という単語で『エイリアン』を超えるSFスリラーを期待すると見事に裏切られます。それだけ『エイリアン』のSFスリラーとしての完成度が高かったということです。
では、この作品のポイントは何か?というと、『プロメテウス』から引き継がれている「創造」についてです。ただ今回は創造された方に焦点が当てられています。
人類の創造したものは、アンドロイドです。アンドロイドがエイリアンを最強の生物に作り上げ、人間を捕食していく。『プロメテウス』では、創造主エンジニアはエイリアンを使用して人類絶滅しようとしたが失敗に終わったとあります。何故人類を絶滅しなければいけなかったかは謎ですが、創造主からすると意図しないことが起こったのでしょう。そして人間を創造主とするアンドロイド・デヴィッドも人間の意図しない行動を取っていきます。創られた者は、創造した者の通りに動かない。これから人類が人工知能でぶち当たる問題、シンギュラリティとも通じるところです。
人類創造の謎を解く旅で創造主が人類絶滅を計画していたという驚愕の事実を知ることになり、次に人類によって創造されたアンドロイドが人類の絶滅を望んでしまうという、人類にとっては「これでもか、これでもか」とどん底に突き落とされていく絶望の展開。これまでの『エイリアン』~『エイリアン4』までは、退治しても退治しても人間にしつこく付きまとい恐怖と絶望を与えるエイリアンを描いてきましたが、『プロメテウス』と今作『エイリアン コヴェナント』は、人類の存在そのものに対して逃げ場のない絶望を与えていくという非常にサディステックな内容なのです。
まとめ
いろいろ書きましたが、やはり『エイリアン』に期待するのはシンプルでドキドキするスリルです。きっと私だけでなく多くの人もそういう思いで劇場に足を運ぶのだと思います。CG技術の進化で観る側も多くのスリル映像を観てしまっているので期待に応えることも難しくなってきていると思いますが、他の作品にないドキドキを追及してもらいたかったと正直思います。エイリアンに関しては誕生の秘密は知らなくても良かったかなー。
『プロメテウス』と『エイリアン』の中継ぎ作品として捉えて楽しむ作品でした。
予告動画
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