トム・クルーズ主演の映画にはハズレはないだろうと思っていたのですが、レビューの評価も思わしくなくちょっと不安を抱えながらのIMAX3Dでの鑑賞でした。タイトルのマミー(Mummy)はお母さんではなくミイラのことです。
作品情報
公開:2017年
時間:1時間50分
監督
主なキャスト
ニック・モートン(トム・クルーズ):金儲けの為にアマネット王女の石棺を探し当てた兵士。王女に呪いをかけられ”セテパイ(選ばれし者)”となる。
アマネット(ソフィア・ブテラ):古代エジプトで女王になるはずだったが、王子の誕生で女王の道は絶たれた。正気を失い家族を殺したことで生きたまま石棺に葬られる。ニックにより現代に蘇ることとなる。
ヘンリー・ジキル博士(ラッセル・クロウ):プロディジウムを率いる紳士的なイギリス人科学者。エドワード・ハイドという人格を内面に宿している。ハイドが表に出てこないように、定期的に薬を服用しなくてはならない。
ジェニー・ハルジー(アナベル・ウォーリス):イギリスの文化遺産財団の役人でエジプト考古学者。かつてのニックの恋人。ジェニーの母親は、歴史から抹消された女性のファラオがいるはずだと確信していた。
クリス・ヴェイル(ジェイク・ジョンソン):ニックの右腕。自称「貴重な骨董品の解放者」だが、他人曰く「現代の墓荒らし」。
グリーンウェイ大佐(コートニー・B・ヴァンス):ニックとクリスの上官。
マリク(マーワン・ケンザリ):プロディジウムの構成員の一人で、セキュリティ部門を統括している。
セト(ハビエル・ボテット):古代エジプトで崇拝されていた神で、砂漠や嵐、暗闇、暴力を司っており、アマネット王女の陰謀に荷担した。
メネプトレ大王(セルヴァ・ローゼリンガム):ファラオ。アマネットの父親。
解説
この映画を観るにあたって製作会社であるユニバーサルの構想を知っていた方がいいと思います。ユニバーサルと言えばテーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を思い浮かべる人も多いと思いますが、その歴史は1912年創設と大手映画会社では2番目に古いものです。そんなユニバーサルがかつて多く人々を恐怖に陥れた”ユニーバ―サル・モンスターズ”と言われた作品たちを現代のCG技術でリブートする構想を発表しました。それを”ダーク・ユニバース”と名付け、その第1作目が今作品『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』に当たります。この”ダーク・ユニバース”は、マーベルやDCコミックと同様にそれぞれの作品が同一の世界観で描かれますので、モンスター同士のコラボなんかも生まれることも予想されます。そして、その中核を担うのは『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』で登場するハイド博士とその秘密組織”プロディジウム”です。因みに『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』では、ハイド博士の研究標本にドラキュラと思われる頭蓋骨などが映されています。ここは注目です。
リブート対象として上がっている”ユニーバ―サル・モンスターズ”の作品は以下のものです。
『魔人ドラキュラ』、『フランケンシュタイン』、『ミイラ再生』、『透明人間』、『フランケンシュタインの花嫁』、『狼男』、『オペラの怪人』、『大アマゾンの半魚人』。今後順にリブートが発表されるそうです。
秘密組織”プロディジウム:この世の悪を識別、分析、拘束、破壊するために作られた秘密結社。ロンドンの自然史博物館の地下に隠し施設があり、取り仕切るのは、天才博士のヘンリー・ジキル。
ジキルとハイド:1885年執筆されたロバート・ルイス・スティーブンソンの小説「ジキル博士とハイド氏」の主人公。本作に登場するヘンリー・ジキル/ハイドの基になった。「人間の善と悪を分離する薬」を研究していたヘンリー・ジキル博士の中に生まれた、もうひとつの凶悪な人格がハイドであり、二重人格をテーマとした作品の代表的な存在。ハイド(hyde)という名前は、隠れる(hide)という裏の意味を持つ。
感想
ネットで流れているレビューを観ると解りにくいという評価が多かったので、事前にパンフレッドを購入して内容確認をしてから鑑賞しました。解説でも記載したのですが”ダーク・ユニバース”の構想を理解して観た方がいいと思います。それを知らなかったら薄っぺらい作品に感じてしまう気がします。
IMAX3D
今までは109シネマズ南町田を利用していたのですが現在休館中ですので109シネマズ湘南です。劇場は109シネマズ南町田と同じ程のスペースで丁度いい感じです。席は後ろから3列目の中央席を予約しました。画面が大きいこともありIMAXではこの辺りが一番観やすいと思います。作品の効果ですが3Dが強調されているシーンはそんなに多くなかったという感じです。こういう映画なのでもう少し飛び出して驚かしてくれても良かったかなと思います。その辺りは期待外れでした。
男優陣
主役ニック・モートン演じるトム・クルーズですが年齢の割には確かに若く、アクションもほとんど自分で行っているというから驚きなのですが、若手の俳優さんでも良かったんじゃないかなと感じました。ミッション・インポッシブルなどのシリーズものの継続ならいいのですが、これから始まる”ダーク・ユニバース”で起用されても後何年ニックを演じられるのかと余計な心配までしてしまいました。年齢的にもニックとは離れているのではないでしょうか。
ジキル博士演じるラッセル・クロウは、”ダーク・ユニバース”では毎度お目見えするとなっています。今作品でも悪の方の人格ハイドが登場したのですが、凶暴なラッセル・クロウは迫力もあり見応えがありました。トム・クルーズとの格闘シーンも貴重ですね。
そういえば今作品でトム・クルーズも内面に悪魔を宿してしまったので以降のシリーズでラッセル・クロウ同様に悪となる可能性があるということです。これで”ダーク・ユニバース”の楽しみが1つ増えました。
女優陣
呪われた魔女アマネットを演じたソフィア・ブテラですが、またもや野性的なコスチュームでの出演です。またもやと言うのは『スタートレック BEYOND』でもをジェイラという異星人を演じていました。
今回は『スタートレック BEYOND』よりも露出が多く、そのエキゾチックな素顔が観ることが出来て良かったです。ただ、すぐに呪いがかけられて顔に文字が浮き出てしまいました。元ダンサーということもあり抜群のスタイルを披露しています。
ニック・モートンの恋人ジェニー・ハルジー演じるアナベル・ウォーリスは、今回初めてだったのですが、トム・クルーズのお相手はプレッシャーがかかると思いますが品のある顔だちで気の強い考古学者を見事に演じ切っていました。今後注目していきたい女優さんです。
驚きの連続なのだが...
冒頭からトム・クルーズのアクションで見せ場を作り、そこから古代エジプトの石棺の発見、魔力の開放、飛行機の墜落、ゾンビのようなミイラ、ジキルとハイドの登場...と最後まで目が離せない展開です。一つ一つのシーンはそれなりにインパクトもあり、アマネットの魔力の設定の曖昧さを除いてはよく出来ています。ただ、そのせいなのかクライマックスの盛り上がりに欠けて満足感が今一つ足りない感じ。せめてニックのジャニーに対する愛情をもう少し時間を掛けて表現して欲しかったなと思います。
まとめ
作品を観終わった後、同じように消化不良を感じた作品を思い出しました。昨年公開の『スーサイド・スクワッド』です。そして2つの共通点は新たな世界観の第1作目という事です。(『スーサイド・スクワッド』は、スーパー・ヴィラン初登場)今作品も”ダーク・ユニバース”幕開け作品なので、中核なすジキル博士と秘密組織”プロディジウムの存在を印象付けるという要素も大きな役割だったと捉えればいいのではないだろうか。少し期待は裏切られはしましたが今後の展開を考えれば観ておいた方がいい作品という事でおさめることにします。
砂嵐を引き連れて砂漠を移動するニックの次回どのように登場するのか期待しています。