1979年公開『エイリアン』の前々談を描いた作品です。監督は『エイリアン』と同じリドリー・スコットです。『エイリアン』は恐怖を前面に押し出したSFスリラーでしたが、今作品はその最強生物エイリアンと人類の誕生の秘密に迫っています。タイトルの「プロメテウス」は作中の宇宙船の名前です。
作品情報
公開:2012年
時間:2時間4分
監督
主なキャスト
・ウェイランド・コーポレーション
人類の創造主を見つけるためにオーナーの指示で惑星LV-223に調査隊を派遣した会社。
オーナー:ピーター・ウェイランド(ガイ・ピアース)
重役/責任者:メレディス・ヴィッカーズ(シャーリーズ・セロン
アンドロイド:デヴィッド(マイケル・ファスベンダー)
・調査メンバー
科学者を中心にウェイランド・コーポレーションによって選ばれたメンバー。
船長:キャプテン・ヤネック(イドリス・エルバ)
考古学者:エリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)
考古学者:チャーリー・ホロウェイ(ローガン・マーシャル=グリーン)
生物学者:ミルバーン(レイフ・スポール)
地質学者:ファイフィールド(ショーン・ハリス)
フォード(ケイト・ディッキー)
チャンス(エミュ・エリオット)
操縦士:ラヴェル(ベネディクト・ウォン)
あらすじ
地球上の古代遺跡で人類の起源にかかわる重大な手がかりを発見した科学者チームが、その謎を解明するため宇宙船プロメテウス号に乗り、未知の惑星を訪れる。しかし、そこには人類が決して触れてはならない、驚きの真実が眠っていた……。
解説
プロメテウスはギリシア神話の男の神で人類を創造したといわれている。プロメーテウス - Wikipedia
惑星LV-223の地球からの距離は、3.27x10の14乗ですので34光年くらいです。
乗組員は17名です。
感想
冒頭から真っ白な筋肉ムキムキの人間ぽい生命が登場して見入ってしまいます。
この生命が何者かが徐々に解き明かされていく流れです。「エイリアン」よりもスリルはありませんがミステリー感は増しています。
人類の創造主
もうネタをばらしますが、この生命体が人間の創造主なんです。写真のシーンの後、手に持っている黒い液体を飲み、融けた体の変異物質が拡散し人類の元になったということなんです。作中ではこの生命体を”エンジニア”と呼んでいます。
地球から未知の惑星へ
考古学者のエリザベスとチャーリーは、地域、時代の異なる太古の壁画に共通の星が描かれていることを発見します。遥か彼方のその星は当時の人類が認識できるものでないことから、「創造主からの人類への招待状」ではないかとエリザベスは考えます。そして、その星に行くことを望みます。
一方、ウェイランド・コーポレーション・オーナーのピーターは老いて長くない自分が永遠の命を得ることを願い、その答えは人類の創造主が持っているはずと考えます。そしてエリザベスたちが云う人類の創造主がいるという星に向かうことになったのです。人は肉体や知能が衰えても生きる欲だけは衰えることはないということだと感じました。
舞台は2090年初めの頃です。遥かなる宇宙の旅が実現している設定でが、本当にそうであれば、それまで生きていたいと思いますが、120歳になってしまうので無理ですね。
人類の創造主
この作品は、人類の創造主を解明していくことでストーリーが進んでいきます。目標である惑星LV-223に到着したのが2093年12月25日です。あえてクリスマスの日に定めているところも意味ありげです。そして考古学者エリザベスは十字架のネックレスをしていて、何度かそのネックレスのことが取り沙汰されます。私はキリスト教徒ではないので詳しいことはわかりませんが人類の創造主が他の星の生命だとキリスト教の教えが否定されることになってしまうのかな?そのような語り草になっています。その星で発見されたエンジニアのDNAが人間のDNAと一致していた時に「ネックレスを外さないのか?」と言われています。単なる話題作りなのかもしれませんがキリスト教に対してのメッセージが込められているようにも思えます。
「人類の創造主は何か?」「人類はどこから来たのか?」は答えることが出来ない永遠のテーマだと思います。
エイリアンの誕生
この作品のもう一つのテーマはエイリアンの誕生です。大きな2つのテーマがあるところもエイリアンシリーズの面白いところです。惑星LV-223は創造主の星と思われていましたが実は違っていて人類を破滅させる為に用意された大量破壊生物兵器の星だったのです。
その兵器が後々エイリアンを生み出すのです。人類もそうですが元の有機物質から誕生していく仕組みです。人類もエイリアンも創造主が同じとなると兄弟みたいなものという事になります。とても複雑な血統です。
- チャーリー・ホロウェイの体内に入る
- 性交渉によりチャーリーからエリザベス・ショウに入る
- 創造主(エンジニア)の体内に入る
- 創造主(エンジニア)の体を突き破る
エリザベス・ショウが母親ってこと?なんだかエイリアン4が浮かんできます。いくつもの変態が見れるのもエイリアンの見どころです。
堕胎シーン
先天性不妊症のエリザべスは自分に人間とは生命体が宿ったことを知り、自身で手術マシンを使用して堕胎を試みます。このシーンが凄い。ノオミ・ラパスの痛みに耐える表情、全身から噴き出す汗。レーザーメスでの腹部切開、生命体の取り出し、ホッチキスによる縫合。脳裏に焼き付く映像でした。
こんなのがお腹から出てくるんですから怖いですね。これで妊娠10時間というのですから
まとめ
『エイリアン』程のインパクトは無いにしても、脚本、映像ともにかなり充実していました。さすがリドリー・スコットです。単なる異星の生命体だったエイリアンを見事に奥深い存在に仕立て上げたという印象です。細かいところもしっかりと作られてして何度も繰り返し観たくなります。
今作品は生き残ったエリザベスとアンドロイドのデヴィッドが2094年1月1日に惑星LV-223から創造主(エンジニア)の故郷に星に飛び立って終わります。この秋公開される続編『エイリアン コヴェナント』で、残された謎をどう解決していくのか楽しみです。
動画
プロメテウス
エイリアン・コヴェナント
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