キネマの館(ヤカタ)

映画 いくつもの感動と出会い

映画『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』感想 ※ネタバレあり

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 第二次戦時中、ナチスの世界最高暗号通信エニグマを解読した天才数学者のお話。コンピューターの元祖を作り上げたアラン・チューリングの不遇な人生が描かれています。

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作品情報

公開:2014年

時間:1時間55分

監督

主なキャスト

ドクター・ストレンジを演じています。

アラン・チューリング (ベネディクト・カンバーバッチ)

ジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)

ヒュー・アレグザンダー(マシュー・グッド)

ロバート・ノック刑事(ロリー・キニア)

ジョン・ケアンクロス(アレン・リーチ)

ピーター・ヒルトン(マシュー・ビアード)

アラステア・デニストン(チャールズ・ダンス)

スチュアート・ミンギス少将(マーク・ストロング)

感想

ナチス敗北が暗号解読という情報戦略によるものだったとは知りませんでした。そして、その解読をした機械が今のコンピュータの元祖だったということも驚きです。戦争が残した爪痕も大きいですが、このような産物もあったということです。

 チューリングは暗号解読者として類い稀な才能を誇っていたのですが、当時の英国で犯罪者として扱われていた同性愛者でもありました。同性愛者である事が暴露ると刑に服すか薬物治療を受けるかのどちらかを選ばなければならなかったそうです。チューリングは開発中の計算機の為、薬物治療を選んだようです。今は婚姻も認められる時代ですから世の中は大きく変化していることがわかります。たった70年位前の事だと思うと驚きです。

彼の人生は

・イジメ

・コンピュータ・人工知能

・暗号化

・セキュリティ

・同性愛者

と今でも社会の話題となるキーワードで形成されているようなものです。もし今の時代に生きていたら、どんな人生だったのだろうなと考えるといろいろ想像が膨らみます。同性愛も市民権を得ていて、結核も不治の病ではないので、人間であるのクリストファーと仲良く暮らしているのかも知れません。そうすると芸術家とかの全く違った人生だったかもしれないです。通常の人生とは違うことは間違いないとは思います。

作中に登場する大きなチューリング・マシン(クリストファーと名付けられた)ですが、ダイヤルのような物が少しずつ回転し復号していきます。現代のスマフォにしてみれば簡単な、しかもフリーのアプリにも及ばない処理なわけです。ここでもコンピュータという道具の進化の驚異的なスピードを再確認できます。孤独の中、限られた時間で設計が成功したというところも彼特有の個性が成せる技だったと思います。最後は周囲の人のアイデアや協力を取り入れて暗号解読に成功するところは作品をよりドラマティックにします。

アラン・チューリング。彼の人生はイジメられていた子供時代から悲しいことが多かったようです。チューリングが暴力を振るわれた時の「何故、暴力を振るうんだ。」という問い、それに対しての暴力を振るった側の空虚感が作中に2度描かれるのですが、そこはこの作品の大きなポイントだと感じます。意味のない暴力が横行する人間社会の象徴です。同性愛者に対して行われていた刑も暴力と同じようなものと考えられます。

人類の貴重な才能をも潰そうとする暴力の存在を考えるいい作品だと思います。暴力は形を変えて常に発生しています。現代社会の新たな暴力にも目を向け1人1人が虚しい思いを味わわないように気を付けることが必要なのでしょう。歴史を知る上でも、社会を考える上でも為になるいい映画でした。お勧めです。

予告動画

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