エドワード・スノーデン、昨年公開されたドキュメンタリー作品『シチズン・フォー 園ーデンの暴露』で彼が香港のホテルで受けた取材の映像が公開されました。アメリカの社会問題を取り上げることで有名オリバー・ストーン監督が既に高い評価のドキュメンタリーとして公開されているスノーデンをどの様に描くのかも鑑賞のポイントとなります。
作品情報
公開:2016年
時間:2時間15分
監督
主なキャスト
エドワード・スノーデンとは
1983年6月21日生まれ、元CIA職員。2013年6月に複数の新聞社の取材でアメリカの国家情報機関が国民の情報を収集していると告発。アメリカ司法当局から逮捕命令が出され、ロシアに逃亡。現在もロシアで暮らす。
いかにもコンピューターが出来そうな面立ちです。神経質そうな感じに見えます。
こちらが『シチズンフォー スノーデンの暴露』では本人を観ることが出来ます。
感想
やはりドキュメンタリーとは違い、とてもわかり易く描かれていました。観る順としては、『スノーデン』を観て『シチズン・フォー スノーデンの暴露』(以降『シチズンフォー』)がいいのかな。
冒頭から始まる香港のホテルでの取材のシーンは『シチズンフォー』で撮影されたシーンなので、既に『シチズンフォー』を観た私としては少し退屈な時間帯になっていました。というのも実物のエドワード・スノーデンはもう少し緊迫感があり神経質な性格がにじみ出ていたからです。ただスノーデンが軍にいた時のこと、足のケガで除隊したこと、CIAの職員として優秀だったことなどは、『シチズンフォー』では映像として描かれていなかったのでその部分は観れてよかったです。
また、国家機密であるが為に、彼女の身を守る為、リンゼイ(シャイリーン・ウッドリー)に全てを打ち明けられない苦悩も知ることが出来て良かったです。告発はスノーデンなりに、彼女を愛しているからこそ考えに考えて取った行動だったのかもしれません。
両親の離婚により恵まれない経歴を持ったスノーデンは、「自分は幸せな家庭を築いていきたい」、「離婚をするような環境は作りたくない」と感じてしたのかもしれません。その為に彼女には隠し事をしたくないという気持ちも生まれると思います。
ーこのまま国家の仕事をしていても自分自身が監視されているという被害妄想にかられ精神的にも追い込まれていってしまう。ー
スノーデンが告発に至った経緯には、監視対象が自分自身にも及ぶという危機感も描かれていました。国家の監視能力の高さを知ってしまったスノーデンには、自分そしてリンゼイも監視対象になっている可能性もあると考え、そういう状況に置かれた時の気持ちを全国民、全世界の人たちと共有し皆で考えようという結果に至った。
ードキュメンタリーではそこまでは描かれていなかったし考えられなかった。ー
作品でも、「国家が罪のない人々のデータを大量に収集していることを国民全員で考えて答えを出しましょう!」は強調されていました。スノーデンの場合は、ウィキリークスのように国家の機密情報の暴露、国家権力への反発という目的ではなく愛国心あるいは自身を守る為なので、国としての被害同じでも動機は異なっています。
『シチズンフォー』でも感じたことなのですが、国家の法律を破ったということでは大きな罪なのですが、国家の不正行為を暴露したことは正義とも取れる行動ではないかと思います。
今ロシア側がスノーデンを保護している状態ですが、それもアメリカとロシアの今後の関係によって変わってしまわなければいいと願います。新大統領トランプはロシアに歩み寄りを見せているのでその辺りが心配です。
選挙前のトランプ氏の発言は以下の記事に掲載されています。
「私は最初からそう言っている。スノーデン氏はスパイであり、本国に返還する必要がある。ロシアが国として米国を尊重するなら、彼を返還するべきだ」
また、スノーデンはトランプ氏の発言に対して心配していないと語っています。
「トランプ氏がプーチン大統領と良い関係になっても気にしません。それは十分ありえることです。プーチン大統領は『ロシアは人権を尊重する』とカメラの前で話した通り、前言を撤回して強制送還に応じるとは心配していません」
今彼は彼女のリンゼイと共にロシアで暮らしているようですが、若干29歳で一般人には到底出来そうも大それた事やってしまい、それゆえ今後の彼の人生に注目したいと思います。映画の終盤にあったように遠隔の画面で聴衆の前で意見を語ったり、TwitterなどのSNSを使用して世界への発信をずっと続けることになるのでしょうか?(『シチズン・フォー』の感想記事にTwitterも紹介しています。)
映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』感想 逃亡中の生の映像 ※ネタバレあり - キネマの館
「情報を制するものが世界を制する」時代です。アメリカは国民の情報の収集を止めたとしていますが、他の中国やロシアといった社会主義国は社会管理のコンピューター化でますます管理体制を強固なものしていくのに対し、アメリカがすべて止めるとは思えません。国家に代わってSNSなどの民間のサービスがその役割を担っているのかもしれません。
10年あるいは20年後に笑いながら「そういう厳しい時代があったね」というような時代が来るような気もします。
これからますます問題になる個人情報の管理。知られないようにしていくのか、オープンにしていくのか選択しなければいけない時期が来ていると思います。
やはり安全に暮らせた方がいいですから
しかし平均5時間かかる作業をやり方は違えど38分で完了させたというセンスはすごいなー。ちょっと憧れてしまいます。
『シチズンフォー スノーデンの暴露』
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青山シアター
青山シアターのオンラインサービスでも観ることが出来ます。こちらは少しお手頃です。
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