マーベル・コミックのスパーヒーローを描いた『ドクター・ストレンジ』をIMAX3D版で観てきました。実はマーベル作品を劇場で観るのは初めてだったのですが内容が東洋思想満載でとても面白かったです。
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作品情報
公開:2016年
時間:1時間55分
監督
キアヌ・リーブス主演の『地球が静止する日』を手掛けています。
主なキャスト
ドクター・ストレンジを演じたベネディクト・カンバーバッチは立ち姿が美しく神秘のパワーを持ち合わせる役柄に相応しい俳優さんです。ドクター・ストレンジの魔術の師エンシェント・ワンを演じたティルダ・スウィントンもスキンヘッドで聡明な卓越した人物像を見事に演じていました。マッツ・ミケルセンはやはり悪役が似合いますね。
相関図
※パンフレッドより
登場人物(キャラクター)など
ドクター・ストレンジ
本名スティーヴン・ヴィンセント・ストレンジ。元脳外科医。交通事故で両腕の自由が効かなくなり失業。どんな怪我も病気も治すと言われるネパールの魔術師エンシャント・ワンの元で修行し魔術を会得し。エンシェント・ワン亡き後は、最高の魔術師。ある人からもらった腕時計を大切にしている。「どんな命も奪わない」という信念を持つ。
クリスティーン・パーマー
ドクター・ストレンジのもと恋人。緊急救命医でストレンジとは強い信頼関係で結ばれていた。しかし交通事故で立ち直れないストレンジに見切りをつけ彼の元を離れる。
エンシェント・ワン
ドクター・ストレンジの魔術の師匠。ネパール、カトマンズのカマー・タージで魔術の指導を行う。時間を超越したその命にはある謎が秘められている。
モルド
ドクター・ストレンジの兄弟子。激しい気性と自然の秩序を守ろうとする強い意志を持つ。時間を操る魔術には否定的。
ウォン
カマー・タージの図書館の守護者。ドクター・ストレンジに読むべき書を助言する。知恵ある誠実な人物。
カエシリウス
闇の魔術に魅せられた魔術師。かつてはカマー・タージでエンシャント・ワンの下で修業していたが永遠の命を求め暗黒の世界の人間となる。
用語
エンドリッチ・ライト
異次元のエネルギーを引き出すことで作られるパワー。人間の目には輝く光として見え、武器や防具とすることもできる。
スリング・リング
この指輪を嵌めた手で円を描くと時空間の光のゲートが開き、どんな場所にも移動できる。
サイトラックのクリムゾンバンド
3000年前のバビロンで作られた拘束具。
魔術杖
リビング・トリビューナルの杖。ワトゥームの杖など
浮遊マント
自らの意志で動く赤いマント。気まぐれなマントは気に入った者の肩しか覆わない。
アガモットの目
時空を操る力を持つを収めたアイテム。その目が開くとき大きな力が働きだす。
カマー・タージ
ネパールのカトマンズにある魔術師たちの修業の場。「至高の魔術師」と呼ばれるエンシャント・ワンを筆頭に暗黒の勢力より地球を守っている。
カリオストロの書
時間を超越する危険な魔術が掲載されている書。カエシリウスによって儀式のページが破られている。
多元宇宙
我々が存在する宇宙とは異なる次元の宇宙が多数存在する。
アストラル次元
あらゆる物質のエネルギーから成り立っている現実を密接に繋がっている異次元。魔術師たちはアストラル投射によってアストラル体を肉体から切り離し、この次元で行動することが出来る。
ミラー次元
アストラル次元同様に現実と密接に繋がっている次元。鏡写しのように真反対の世界で暗黒のエネルギーで成り立っている。
暗黒次元
時間、生死、倫理をいった人間の概念の全てを超えた空間。地球を己の次元に取り入れることを企む邪悪な存在ドルマムゥによって支配された世界。
感想
マーベルヒーローは突然変異などの超能力者が主ですが、このドクター・ストレンジは修業の末に魔術を身に付けたというとことが、まるでスター・ウォーズのフォースのように精神性の向上が描かれ、とても楽しめました。また、宇宙も多元宇宙を想定していて物理の世界または哲学、スピリチュアルなんかも混合されていて、この世界観がマーベルの中でも大人が楽しめる作品となっているのではないかと思います。チャクラや経絡なんかは東洋の神秘の一つですからその辺りに興味がある方は、カマー・タージでのエンシェント・ワンがストレンジに行うお説法にありがたく耳を傾けるんじゃないでしょうか。
映像は、暗黒界の地球制服に力を貸すカエシリウスの次元を自在に操る力で、ビルが縦横逆になったり、床や壁がスライドしたりと、レオナルド・ディカプリオの『インセプション』のような、いや『インセプション』をさらにパワーアップしたような驚きのシーンが次々と流れてきます。
・インセプションの一場面
・ドクター・ストレンジの一場面
空間移動もスリング・リングという魔術アイテムの力で自由自在に何処でも行けてしまいます。死にそうになればストレンジの元彼女のパーマの病院に移動して緊急手術です。魔術は西洋医学で治せないケガを治せても瀕死状態では西洋医学の力を借りなくてはいけないようです。
マーベル作品はわざわざ劇場で観なくてもいいのではないかという思いがあったのですが、いい意味で予想を裏切り楽しめましたし満足しています。
ただ時間を操作できる「アガモットの目」は反則です。この力があれば何でも出来てしまいます。最悪時間を戻してトム・クルーズの『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のように何度も繰り返し学習していけば窮地を逃れることが出来ます。エンシェント・ワンの死だって時間を戻せば助けることが出来たかも、と考えればいろいろと矛盾しているところが出てくるのですが…。「そういうことを考えてこういう映画を観てはいけない。」と自分に言い聞かせています。
暗黒の支配者ドルマムゥとの闘いは、はっきり言って「いやがらせ作戦」です。取引とは言っていますが、向こうが根気負けしちゃったんでしょう。地球を守るところはもう少しカッコよくやって欲しかったなという思いはあるのですが、アメコミ作品の中では今までで一番私好みの作品でした。
もう書かなくても検討はつく事ですが、IMAX3Dは正解です。3Dを意識して制作されていたはずですし4Dでも良かったかなと思ったくらいです。3Dでないと、あの酔ってしまうのではないかと思うくらい三半規管を狂わす都市が歪む映像の効果が半減します。
最後に注意事項。クレジットロールを3Dメガネを外して観ていたら突然次回作に続くと思われるシーンが流れ慌てて3Dメガネかけ直しました。3Dメガネは劇場が明るくなるまで外さないようにしましょう。(もしかしてこのパターンはマーベル作品では当たり前だったのかな?周りは誰も3Dメガネ外していなかった。)
なんと今年初の劇場鑑賞でしたが満足のいく作品でした。
マーベル公式サイト
画面が反転したりして、操作しづらいけど魔術がかかっていて面白いです。