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映画『ラーメンガール』感想 西田敏行出演のハリウッド作品 ※ネタバレあり

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映画『ラーメンガール』の感想です。西田敏行のハリウッド初出演作品なんですが、邦画と言ってもいい作風になっています。

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(C)2008 Digitalsite Corp./Media 8 Entertainment

作品情報

公開:2008年

時間:1時間42分

監督

ロバート・アラン・アッカーマン - 映画.com

主なキャスト

あらすじ

日本で働く恋人と暮らすため東京にやってきたアビーだったが、恋人に振られて傷心。アパートの向かいの小さなラーメン屋で泣き崩れる。その時、店主マエズミがくれた一杯のラーメンに心を打たれたアビーは、ラーメン作りを志し、言葉も通じない中でマエズミに無理矢理弟子入りするが……。

ラーメンガール : 作品情報 - 映画.com

感想

ほとんどの出演者は日本人で撮影も日本というハリウッド映画です。ラーメン屋のオヤジは、こってりな日本人、西田敏行が演じております。監督ロバート・アラン・アッカーマン とヒロイン役のブリタニー・マーフィが日本に乗り込んだような作品です。

ラーメン作りを通して日本人の魂をアメリカ人女性に教え込むと言う内容は非常に面白く、最後まで楽しむことができました。

ヒロインのアビーを演じるブリタニー・マーフィはこの作品が公開された翌年に亡くなっていて、脇役でアビーに恋する男性を演じていた前田建さんも昨年亡くなってしまったということで彼らを惜しみながら観る作品でもあります。

 

西田敏行演じるラーメン屋店長は日本語がわからないアビーに対しても日本語でまくしたてるという頑固者で、時たまそれに反発するアビーとの掛け合いがとてもコミカルに描かれています。ちょうど釣りバカ日誌でスーさんを叱っているハマちゃんが全編にいる感じです。

日本の師弟関係には「阿吽の呼吸」を求めるところがあります。それをアメリカ人女性に対しても行っているところは日本人の私が見ると納得できるのですが、海外の人にはどう映るのか非常に興味がわきます。どこの国でも頑固オヤジはいると思うので理解は出来ると思いますが…。

撮影中のエピソードで、当初はアドリブで演技する西田敏行の言葉を監督のロバート・アラン・アッカーマンがチェックし指導していたそうですが、そういう役者とわかると自由にさせたとあります。監督の意図していた作品はどういうものだったのか気にはなりますが、個性派俳優西田敏行を起用したという事は彼が全面に出る作品になってしまします。『ラーメンガール2』、『ラーメンガール3』のようにシリーズ化されてもおかしくない感じです。

こういう師弟関係を描いた作品で必ず出てくるのが意思疎通の壁です。今作品は日本語と英語という壁もプラスされています。言葉というものは効率的なコミュニケーションのツールではありますが、本当に意とする部分を伝えるにはある意味邪魔なものなのかもしれません。ですから日々共に行動し、いがみ合ったり笑ったりして心を通わせ、考える元を譲り受け、初めて師から学べるのかもしれません。これは実際にそういう経験を積んだ人にしか分からないことだと思います。それは日本の独特の文化と言うものではないですが日本人が美化し守り続けようとしているもののように思います。

マエズミ(西田敏行)の師匠にアニーが作ったラーメンを評価して貰うという場面では、ラーメン映画「たんぽぽ」に出演していた山崎努が起用されていて「たんぽぽ」を観たことがある人にとっては楽しみな場面となっています。

ハリウッドが日本人を描いた同じような作品には、高倉建が出演した『ミスター・ベースボール』あります。こちらは日本でプレーするメジャー・リーガーと日本人監督の物語で、今作品と同じように頑固な日本人に悩まされるアメリカ人を描いています。併せて観ると面白いかなと思います。

気軽に観ること」が出来る邦画風ハリウッド作品でした。

予告動画

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