S・キング原作の『スタンド・バイ・ミー』を観ました。感動がジワジワ訪れる名作です。
写真:Photofest/AFLO
作品情報
公開:1986年
時間:1時間26分
原作
監督
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』では父親役で出演していました。
主なキャスト
左からゴーディ、クリス、テディ、バーン
ゴーディ(ゴードン・ラチャンス):ウィル・ウィートン - 映画.com
クリス(クリストファー・チェンバーズ):リバー・フェニックス - 映画.com
テディ(セオドア・ドチャンプ):コリー・フェルドマン - 映画.com
バーン(バーン・テシオ):ジェリー・オコンネル - 映画.com
不良のリーダー エース・メリル:
ゴーディの兄 デニー・ラチャンス:
原作は、スティーブン・キングの短編小説「The Body」です。
あらすじ
オレゴン州の小さな田舎町キャッスルロック。それぞれに家庭の問題を抱える4人の少年たちが、町から30キロばかり離れたところに列車の轢死体が放置されているという噂を聞き、死体探しの旅に出る。
小説家になったゴーディの回想物語です。
4人について
ゴーディ:主人公。フットボール選手の兄を亡くした。父は兄を溺愛しゴーディを理解していない。
クリス:学校のミルク代をくすねた不良。頭は良くゴーディを理解している。
テディ:父親に耳をコンロに押し付けられ火傷をしている。ちょっと粋がっている。
バーン:肥満体型でちょっとトロい。死体の話を兄から盗み聞きした。
感想
S・キングはモダンホラーの作家として知られていますが、時にホラーでない作品も書きます。非ホラーで映画化されたものでは『ショーシャンクの空に』や『グリーン・マイル』があります。いずれも名作として評されています。
S・キング作品の記事は以前書いています。
今作品も心に残る映画として多くの人に愛されています。私は映画に直接的な感動や驚きを求めるタイプで、S・キングの非ホラー作品は少し拍子抜けする感じがして特にいい作品と思っていませんでした。(『グリーン・マイル』まだいいとしても『ショーシャンクの空に』のような地味に努力する作品は、余りにも現実的過ぎて映画としては物足りないと感じていた)
しかし、年齢を重ねそれなりに社会に揉まれ身の程を知るようになってからは、その良さがジワジワをわかるようになってきました。今作品もです。20代に観たころは途中で眠ってしまっていたように思いますが、今はいい作品だなと感じます。
主人公のゴーディは、父親に認めてもらえずとても寂しい思いをしています。亡くなった兄は優秀なフットボール選手で父に溺愛されていました。ゴーディは文才があり兄はその才能を認めゴーディの支えなっていました。ゴーディは父が兄ではなく自分が代わりに亡くなれば良かったと思っていると感じています。12歳という年齢はとても多感です。いろんなことを考えます。
物語りは4人の死体探しの旅です。4人各々は何らかの劣等感を持っています。死体は彼らと同じ年の少年でブルーベーリーを摘みに行って列車に撥ねられ亡くなった子です。4人は死体を見つけるまでに列車に轢かれそうになっています。死体は彼らが人生を諦めた時の象徴になっているように感じます。
死体を前にしてゴーディは自分の辛い状況を親友のクリスに打ち明けます。クリスは、ゴーディが小説家になるよう進めその才能を信じるように励まします。
人は誰かに認められ期待されることを歓びにして生きています。クリスは兄を失ったゴーディの新しい支えになります。兄の魂がクリスに乗り移ったような場面です。
4人にとってこの旅は人生の大きな成長の旅だったと思います。大人たちが探しても見つからないものを自分たちの力で見つけ、匿名で通報するという全てにおいて上手く納まる大人の対応をとっています。自立心と社会性の面で大きく成長した時です。
旅の中では、人の敷地に勝手に入って犬に追われるシーンや鉄道橋を渡っている時に列車が来て危く轢かれるシーンや、全身ヒルに血を吸われるシーンなど面白いことも描かれています。
作品は、小説家になったゴーディがその死体探しの旅の最後に
「あの12歳の時のような友達はもう出来ない。もう二度と」
で締めくくります。
一見子供が観る映画のようで、ここで大人の映画に変わります。奥深い言葉で誰もが大人になった時に感じる言葉です。
次回もS・キング原作の「ショーシャンクの空に」です。
音楽
音楽はB・E・キングの「Stand by me」
予告動画
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