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映画『インフェルノ』感想・シリーズ全作品解説 ※ネタバレあり

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映画『インフェルノ』を観てきました。ダン・ブラウン原作シリーズの第3弾。象徴学者というちょっと面白そうな学問の教授ロバート・ラングドンが今回も大きな事件に巻き込まれてしまいます。

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シリーズの解説

本シリーズは、ハーバード大学宗教象徴学教授ロバート・ラングドンが主人公のダン・ブラウン原作ミステリー作品です。3作とも、監督ロン・ハワード、主演トム・ハンクスの最強タッグで作られています。

前2作の『ダ・ヴィンチ・コード』、『天使と悪魔』は、共にカトリック教会に関係したミステリー事件をロバート・ラングドン教授が迫るというもので、ナショナル・トレジャーをよりリアルにそしてシリアスしたような感じになっています。中世ヨーロッパの建造物や芸術作品などが登場し、世間で囁かれている陰謀説に触れた部分もあり想像を掻き立てられるシリーズです。

 

では、『ダ・ヴィンチ・コード』、『天使と悪魔』について簡単におさらいです。

ダ・ヴィンチ・コード

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公開:2006年、時間:2時間29分

事件の発端:シオン修道会とカトリック教会オプス・デイの対立

ヒロイン:フランス司法警察暗号解読官ソフィー・ヌヴ―

小説では、「天使と悪魔」が先に出版していますので「ロバート・ラングドン」シリーズの第2作となっています。

あらすじ

ルーブル美術館館長ジャック・ソニエールが、館内で「ウィトルウィウス的人体図」を示すような形で射殺死体で発見された。そこにはラングドンの名が暗号で残されており、なんと彼は容疑者となってしまう。彼は警察の目を逃れながらのソニエールが残した暗号とそれを巡る事件の謎に挑む。

 

事件はキリスト教誕生からの確執が鍵となっています。イエスの末裔を守るシオン修道会とイエスの末裔の存在を邪魔とするカトリック教会オプス・デイの聖杯をめぐる争いにラングドン教授が巻き込まれていきます。

レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の解釈でイエスにマグダラのマリアが寄り添っているとあり、思いもよらぬ歴史仮説が楽しめます。(これは公開当時TV番組で良く取り上げられていたところです。)殺害されたソニエールが残した鍵から始まる連続した謎解きが作品を退屈にさせません。

最終的にはラングドンは聖杯の行方を探すことになるのですが、ソニエールに育てられ事件を共に追う暗号解読官ソフィー・ヌヴーが、イエスの末裔=聖杯ということで結末を迎えます。キーストーンの暗号の5文字が「APPLE」というのもビートルズ、スティーブ・ジョブスを連想したのですが関連あるのかな?

ラングドンが象徴学ということもあり作品中には幾つものシンボルが登場します。

なぞ解きのポイントとなった事柄

 ・ウィトルウィウス的人体図

ウィトルウィウス的人体図 - Wikipedia

・岩窟の聖母

岩窟の聖母 - Wikipedia

・最後の晩餐

最後の晩餐 (レオナルド) - Wikipedia

・△:男性器、男性

・▽:子宮、女性、聖杯 

:五芒星、ヴィーナス、テンプル騎士団、シオン修道会

・サン・シュルピス教会のローズ・ライン

・シオン修道会:1950年代に設立されたフランスの秘密結社 シオン修道会 - Wikipedia

・オプス・デイ:厳格なカトリック教会 オプス・デイ - Wikipedia

・シリス帯:トゲ付きのベルト。キリストの痛みを実感するためのもの

・ヨブ記:旧約聖書に収められている書物 ヨブ記 - Wikipedia

・ニュートン:イオン修道会の総長 アイザック・ニュートン - Wikipedia

その他

フィボナッチ数 - Wikipediaアナグラム - Wikipediaヨブ記 - Wikipedia

 

「唯一の神の存在が人を殺す」という言葉が心に残りました。偽りを真実にするためには人を殺しても良い。

イエスの末裔の謎から真実とは何か考えさせられる作品でした。

 

天使と悪魔

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公開:2009年、時間:2時間18分

事件の発端:ヴァチカン(カトリック教会)の科学への対抗

ヒロイン:セルン研究所勤務生物物理学者ヴェットリア・ヴェトラ

『ダ・ヴィンチ・コード』では、イエス・キリストの末裔を巡る長年の争いを描いたものでしたが、『天使と悪魔』ではイルミナティ(現代科学)とカトリック教会(バチカン)の争いが描かれています。実際のところはイルミナティは名前を利用されただけでヴァチカンの権威の維持のために仕組まれた罠を描いたものでした。

あらすじ

カトリック教会教皇が突然死し10億人の信者が悲しむ中、スイスのセルン研究所で反物質が盗まれ、新教皇候補4人の枢機卿の誘拐事件が発生する。犯行グループからは消滅したはずのイルミナティのシンボルと誘拐した枢機卿の公開処刑の声明が送られてくる。イルミナティに詳しいラングドン教授がヴァチカンから捜査の依頼を受け、枢機卿の処刑がイルミナティの科学の祭壇とされる場所だと推理し奔走する。

「バチカンは光に包まれて消える」。反物質はヴァチカンを消滅させるために盗難されたもので、電気によって中に浮いた状態で容器に収められていて、バッテリー持続時間の24時間を過ぎればヴァチカンを吹き飛ばすほどの大爆発を起こす。犯人は、土・空気・火・水の科学の祭壇といわれた4つ教会で誘拐した枢機卿の胸に焼き印を入れ1時間毎に処刑される。

 

犯人はなんと最もラングドン教授に協力的だったパトリック神父で、前教皇も殺害していた。

パトリック神父役は、ユアン・マクレガーが演じています。科学の力を認めて行こうとする流れが許せなかったということなのですが、自信の胸に焼き印をし、反物質を持ってヴァチカンの上空に浮上するとは、その教会の権威守りたいという想いにアッパレです。科学を認めなかった長い歴史がありますから、認めてしまった時の反響は大きいはずです。あいにく仏教や神道はそこまで科学と対峙するところがないので、日本ではすんなりと受け入れている感じがします。こういう宗教を扱った作品では、信者の方々が受ける想いと私では大きな隔たりがあるのだろうと思ったりもしています。

 反物質がヴァチカンの上空で爆発(衝突)した映像はすごいものでしたが、実際どれくらいのエネルギーがあって、また人類が利用出来る代物ものなのか興味が尽きません。現在の最高峰の物理科学の世界を軽く覗くことが出来てよかったです。

 

なぞ解きのポイントとなった事柄 

・イルミナティ:秘密結社 イルミナティ - Wikipedia

・万物を見通す目: プロビデンスの目 - Wikipedia

・ガリレオ:イルミナティの一員で科学と教会の融合を目指した ガリレオ・ガリレイ - Wikipedia

・科学の祭壇:4つの教会。土、空気、火、水 四元素 - Wikipedia

・CERN:欧州原子核研究機構 欧州原子核研究機構 - Wikipedia

・反物質:反物質 - Wikipedia

 

「 宗教には欠点もある。だがそれは人に欠点があるからだ」

 ヴァチカンが科学と融合の道を歩み始める決意をしたところで締めくくられています。宗教たりとも真実を捻じ曲げてはいけないということを考えさせられた作品でした。

 

 インフェルノ

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作品情報

公開:2016年

時間:2時間1分

監督

主なキャスト

【相関関係】

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参照:「インフェルノ」パンフレット

あらすじ

ハーバード大学の宗教象徴学者ラングドン教授は、数日分の記憶を失った状態で、フィレンツェの病院で目を覚ます。謎の襲撃者に狙われたラングドンは、美しい女医シエナ・ブルックスに助けられて病院を脱出。何者かから追われる身となったラングドンとシエナは、生物学者ゾブリストが人類増加問題の解決策として恐ろしい伝染病を世界に広めようとしていることを知る。そしてゾブリストが詩人ダンテの叙事詩「神曲」の「地獄篇」になぞらえて計画を実行していることに気づき、阻止するべく奔走するが……。

インフェルノ : 作品情報 - 映画.com

舞台は、フィレンツェ→ヴェネツィア→イスタンブールと移り変わります。

感想

記憶喪失になったラングドン教授が見る幻想の映像が前2作にないようなおぞましいものでCG映像の多用作品かと思いましたが、その映像がダンテの神曲に繋がるものだという展開だったのでホッとしました。最近はCG映像の視覚効果だけで話題を取る作品が多くなっていいますが本シリーズはそうなって欲しくないという思いがあります。脚本と演技で勝負して欲しいシリーズです。

ラングドン教授が頭に怪我を負って病院のベッドの上で目覚めう姿は痛々しく、傷跡からの血液もけっこうリアルでちょっと目を背けたくなりました。案外怪我のシーンは苦手です。流血のにリアル感ってここまで進歩したんだと感心しました。

そして、今回もまた歴史的資産に傷をつけています。ヴェッキオ宮殿の五百人広場の天井の絵を天井裏からぶち破ります。これはインパクトがありましたね。イスタンブールの地下宮殿でも大爆発を起こします。ここは崩れてはいなかったので良かったですがが、セットとわかっていてもハラハラします。

ストーリー展開は、ラングドン教授が記憶喪失で追われる身ということもあり、最近観た『ジェイソン・ボーン』と似ているなと感じました。公開日がもう少し離れていれば脳裏に浮かぶこともなかったのですが比較してしましました。それでも記憶喪失という設定は、ただでさえ謎解きストーリーに、更に過去の謎をプラスすることとなるので二重の謎解きになっていて、ラングドン教授の疲労度はMAXです。私は『ダ・ヴィンチ・コード』辺りが丁度いいと思っているので、ちょっと主人公を追い込み過ぎだと感じました。

3部作で発生する事件は、段々に壮大なものになっていきます。 

『ダ・ヴィンチ・コード』・・・キリストの末裔の暗殺 

『天使と悪魔』・・・反物質でのヴァチカンの消滅(教皇の奪取)

『インフェルノ』・・・ウィルスでの人類の虐殺

前2作は、カトリック教の内容が強かったのですが今作品は宗教を超えた哲学となっています。次が出るとすれば、宇宙人なのかな?

 

今作品で謎解きのポイントとなった事柄です。

・ダンテ:フィレンツェ出身の詩人、哲学者、政治家 ダンテ・アリギエーリ - Wikipedia

・神曲:地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部から成る長編叙事詩 神曲 - Wikipedia

・デスマスク:石膏で死者の顔を型取ったもの

・五百人広場:

ヴェッキオ宮殿 - Wikipedia

・マルチャーの戦い:

Salone dei Cinquecento - Wikipedia

・サン・ジョヴァンニ洗礼堂:この洗礼堂で洗礼を受けたダンテ・アリギエーリは、『神曲』地獄篇で「わが美しき聖ジョヴァンニ」とこの洗礼堂に言及している。 サン・ジョヴァンニ洗礼堂 - Wikipedia

 ・サン・マルコの馬

クアドリガ - Wikipedia 

 ・イスタンブールの地下宮殿

イスタンブールの地下宮殿 - Wikipedia

 

こうやってまとめてみますと、登場する聖堂とかは一度は見に行きたいなと思います。

13世紀のダンテが思い描いた地獄の世界(インフェルノ)を現在の人口増加問題に繋げているところが非常に面白いことです。

時折ニュースで人口増加問題に対してビル・ゲイツら著名人が口にしてるのを見ますが、私のような庶民にはちょっとピンとこない問題ですが、何らかの対応を取らないといけないことなのかも良くわからないです。「ビル・ゲイツ + 人口増加」でヒットした動画を貼っておきます。2分30秒くらいから人口問題に述べています。

ビル・ゲイツ 「ワクチンで人口削減が可能」 - YouTube

人類が悪だとしても人が人を殺戮してはいけないことを考える内容でした。

 

私は、全シリーズの中では1作目というのと実際にある話かなということで『ダ・ヴィンチ・コード』が1番面白かったです。

予告動画

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書籍

インフェルノ(角川文庫 上中下合本版)

インフェルノ(角川文庫 上中下合本版)

インフェルノ(角川文庫 上中下合本版)

 

 天使と悪魔(上中下合本版)

天使と悪魔(上中下合本版)<天使と悪魔(上中下合本版)> (角川文庫)

天使と悪魔(上中下合本版)<天使と悪魔(上中下合本版)> (角川文庫)

 

 ダ・ヴィンチ・コード(上中下合本版)

ダ・ヴィンチ・コード(上中下合本版)<ダ・ヴィンチ・コード(上中下合本版)> (角川文庫)

ダ・ヴィンチ・コード(上中下合本版)<ダ・ヴィンチ・コード(上中下合本版)> (角川文庫)

 

 ビデオ

天使と悪魔 (字幕版)

天使と悪魔 (字幕版)

天使と悪魔 (字幕版)

 

 ダ・ヴィンチ・コード (字幕版)

ダ・ヴィンチ・コード (字幕版)

ダ・ヴィンチ・コード (字幕版)

 

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