映画『アポカリプト』をNetflixで観ました。メル・ギブソン監督で出演者が全員無名揃いで話題になった作品です。残虐シーンが苦手な方は観ない方がいい作品です。
(C) Icon Distribution, Inc., All rights reserved Photo :Andrew Cooper, SMPSP
作品情報
公開:2006年
時間:2時間18分
監督
主なキャスト
全て無名俳優さんで、マヤ語の作品となっています。
※R15指定です。
あらすじ
舞台はスペイン人侵略直前のマヤ文明時代の地ユカタン半島。森と一体化して幸せに暮らしていたジャガー・パウの部族にマヤの文明人が襲撃をかける。彼らの目的は奴隷を捕らえること。ジャガー・パウとその部族は無残にも村を焼かれ何人かは殺され、残ったものは囚われの身となって彼らの街に連行される。その街は農業・商業のある都市社会が構築され長く続く干ばつと伝染病を終わらせるために神に生け贄を捧げる儀式を行っていた。ジャガー・パウも生け贄となり、首を跳ねられる台に乗せられたが、奇跡的に日食が起こり生け贄の儀式は終わった。命拾いしたのもつかの間、次は戦士の狩りの標的となり、またも命を狙われることとなる。ジャガー・パウも必死に逃げるがリーダー格の戦士の弓に射止められ、その息子に最後の一撃を食らわされそうになるが逆に殺してしまう。なんとか森に逃げ込むジャガー・パウダが怒り狂った戦士たちの追走から逃げ延びることはできるだろうか?
アポカリプトは、「啓示する」の意味。
感想
恐怖
「恐怖は病、恐怖を村の持ちこむな」主人公ジャガー・パウが父から教わった教訓です。
映画はバクを狩りの仕掛けで仕留めるところから始まります。そしてジョガー・パウの村がマヤの文明人達に襲われます。生け贄から逃れることが出来たジャガーの目の前には次の脅威であるスペイン人の船が出現します。その大きな脅威はジャガーの心に恐怖を生み、安泰した生活を奪います。人は恐怖を感じながらでは本来の生き方はできません。
アポカリプト(啓示する)
題名のアポカリプトは「啓示する」の意味です。監督のメル・ギブソンはこの作品の前にイエス・キリストの最後を描いた『ミッション』を公開しています。非常に衝撃的な作品です。信仰心の強い彼が「アポカリプト」と名付けた作品なので、それなりの意味が込められているはずです。私自身がキリスト教徒ではないのでその意味を全て読み取ることは難しいのですが、神の教えに背いて欲望の赴くままに発展する文明の行く先を既に消滅したマヤ文明を題材にして描いたように思います。
マヤ文明
作品中にマヤ文明の用語が出てきます。
ククルカン・・・・、マヤ神話の至高神、創造神
マヤの神殿での生け贄の儀式は衝撃的なシーンです。首を跳ねられ階段に投げ捨てられるのも悍ましいのですが、それを拾い歓喜する民衆にも恐ろしいものを感じます。マヤ文明では生け贄があったとされているそうですが、あの神殿の上で儀式が行われていたのか疑問ですが、もしそうだとしたら観光に行っている人も近づけなくなるのではないでしょうか。
儀式のシーンでの王たちの装飾も緑の首飾りや鼻飾り(?)は翡翠なのでしょう。マヤの有名な翡翠のマスクを思い出しました。
森での知恵
森に住む人の印象に残る知恵もいくつか描かれていました。
- 傷口をアリの牙で塞ぐ(『ターザン REBORN』でも観られました)
- 泥で蜂から身を守る
- カエルの毒で吹き矢
ここも見どころです。
最後に
ジャガーは最後に「”新しい始まり”を探す」と告げます。脅威の力が及ばない森のどこかで家族と幸せな家庭を築くのでしょう。作品中のマヤ文明を現代文明に置き換えてみると、現代社会も人々は何かの脅威に追われて生きています。そして次から次えと現れる欲望により格差が生まれています。
人は欲望を求めることより心の平穏を求めて生きるべきなのではないかと考えさせられた作品でした。
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