今回はドキュメンタリー映画『和食ドリーム』です。『noma ノーマ、世界を変える料理』というドキュメント映画がヒットしていますが、その映画を観て「日本料理も同じくらい深いものではないか」という印象を持ちました。そこで2013年無形文化遺産に登録された「和食」を世界に広めようとする人々を紹介している『和食ドリーム』というドキュメンタリーを観てみることにしました。
(C)film voice inc
主な出演
共同貿易株式会社 会長 金井紀年
菊乃井 主人 村田吉弘
京懐石 美濃吉本店 竹茂楼 調理総支配人 佐竹洋治
銀座久兵衛 三代目 今田景久
Nobu オーナーシェフ 松久信幸
Katsu-ya オーナーシェフ 上地勝也
以下は、出演者の発言の一部です
- 「う まる どぜう」(ウナギ、すっぽん、どじょう)の料理が出来ればすべての料理が出来る。(京懐石 美濃吉本店 竹茂楼 調理総支配人 佐竹洋治)
- 懐石料理の特徴は、全部きれいに食べきれる量と質、作りたてが順番に運ばれることが400年前に始まっている。(静岡文化芸術大学 学長 熊倉功夫)
- 海外の料理は脂質を中心に構成しているが日本料理はうまみを中心としている。(菊乃井 主人 村田吉弘)
感想
日本の文化を代表する和食は奥が深いというのが第一の感想です。映画は和食をアメリカで広めようと尽力された共同貿易の金井会長を全編に登場させてアメリカの寿司職人、ラーメン職人、京都の懐石料理人、銀座寿司職人の方々が料理に対しての思いを語っていきます。
日本の懐石料理人からは和食に対して強い誇りを持っていることが分かります。400年の歴史を持つ和食は単なる栄養摂取ではなく、季節感、人の技(器など)、健康、そして生き方をも感じさせるものだと語ります。
1シーンだけ笑えるところがありました。アメリカの寿司職人の話の中で「ハンバーガーは大きい口を空けて食べるのに寿司を一口で食べない女性がいたので半分に切って出したこともある」というところがあるのですが、対照的に銀座久兵衛の時に日本女性が手でお鮨を取って一口で頬張るところです。強調して撮っているように思えて面白かったです。
『和食ドリーム』は和食を世界に広げてビジネスで成功するという夢だけではなく和食を通して日本の伝統的な心を世界に伝えていく夢が描かれています。Katsu-ya オーナーシェフに一番うれしい時を尋ねたら「自分が手入れした包丁できれいに切れた時」と答えます。何か職人気質な日本人の心を感じました。
海外のものにも素晴らしいものはたくさんありどんどんと日本に入ってきます。そういうものを取り入れながら時には立ち止まり足元の日本文化も見つめ直すのもいいのではないでしょうか。ぜひ観てもらいたい作品です。
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