園子音監督作『地獄でなぜ悪い』を観ました。『ひそひそ星』、『希望の国』に続く園子音監督作品の記事になります。
(C)2012「地獄でなぜ悪い」製作委員会
作品情報
公開:2013年
時間:2時間10分
監督
主なキャスト
お笑い芸人の友近さんも出演しています。
あらすじ
ヤクザの組長・武藤は、獄中の妻しずえの夢でもある、娘ミツコを主演にした映画の製作を決意。「映画の神様」を信じるうだつのあがらない映画青年と、通りすがりのごく普通の青年を監督に迎え、手下のヤクザたちをキャストに映画作りを始める。しかし、対立する池上組の組長でミツコに恋心を抱く池上も巻き込み、事態は思いもよらない方向へと進んでいく。
感想
とても面白いアクション娯楽映画です。笑いの中にも、映画は命を懸けて作るものだという気持ちは強く伝わります。命を懸けて戦うヤクザの抗争をシナリオのある映画のシーンとして撮影するというアイデアは大変良かったです。真剣な抗争に笑いの要素が組み込まれ、映画を撮ることの方が真剣なものになっています。それだけ園監督が映画にかけてきたということなのでしょう。先日記事にしていますが「映画の製作を舞台にした映画」ですので映画撮影が大変なものだということを理解して観ないと単なる笑える映画になってしまします。
真剣さと面白さを取り混ぜた役の堤真一(池上組の組長役)は上手く演じているなと思いました。また、高校のころから映画を撮ることを夢見ている平田のキャラクターが映画全体を引っ張ています。不良の喧嘩を撮影し乱闘の仕方まで指導したり、挙句の果てにはその不良の一人をアクション俳優志願にしてしまったりと映画のことしか頭になく何事にもひるまない性格。映画監督ってこんなにも図太くないと出来ない職業なのかなと思ってしまいました。
あと園監督作品で外せないのは女優さんの存在です。二階堂ふみさんがヤクザの組長の娘の武藤ミツコを演じています。刀を振る乱闘シーンは女性ならではの可愛さとカッコよさがあります。『キル・ビル』のユマ・サーマンを思い出しました。奥様の神楽坂恵さんもちょっと出演しています。
園監督はいろんなジャンルに挑戦してるので注目しています。園監督の作品は、血が噴き出るような残虐のシーンがよくあるのですが、コミック的な表現になっていて恐怖より血そのものに注意が払われてしまうところに特徴があると思います。血の量が半端なく多いので気持ち悪がる人もいると思います。
最後の平田が撮影したテープを抱えてよろめき歩くシーンは娯楽映画で終わらせないシーンとして印象に残りました。
予告動画
二階堂ふみが出演している園子音監督作品
二階堂ふみが目力のあるいい演技をしています。若いうちにこういう演技が出来るようになればこの後も演技の幅が広がると思うので今後楽しみな女優さんです。