コーエン兄弟作品の『ファーゴ』の感想です。タイトルの『ファーゴ』は事件現場の舞台となったノース・ダコタ州にある街の名前です。
作品情報
公開:1996年
時間:1時間38分
監督
主なキャスト
マージ・ガンダーソン(フランシス・マクドーマンド)
ジェローム・“ジェリー”・ランディガード(ウィリアム・H・メイシー)
カール・ショウォルター(スティーヴ・ブシェミ)
ゲア・グリムスラッド(ピーター・ストーメア)
ジーン・ランディガード(クリステン・ルドルード)
ウェイド・グスタフソン(ハーヴ・プレスネル)
ノーム・ガンダーソン(ジョン・キャロル・リンチ)
あらすじ
自動車販売会社に務めるジェリーは、借金苦から自分の妻を偽装誘拐させ彼女の父親から身代金を奪うという計画を企てる。しかし計画を依頼したに2人の男カールとゲアがとんでもないチンピラで計画は思わぬ展開へと進んでしまう。
感想の最初からネタバレです。これから観賞予定の方は読まないで下さい。
感想
映画冒頭で「これは実話である」(原文:THIS IS A TRUE STORY.)と表示され、それを鵜呑みにして真面目に観賞していると、笑ってはいけないと感じつつも笑ってしまうので、とうとう諦めて普通に笑い出してしまうという作風です。演出ということが確認出来て安心しました。
映画の始めに「これは実話である」(原文:THIS IS A TRUE STORY.)という一文が映るがこれも演出の一つで、実際に映画のような経緯を辿った誘拐事件が起きた事実はなく、物語は完全なフィクションである
THIS IS A TRUE STORY.
The events depicted inthis film
took place in Minnesota in 1987.
At the request of the survivors,
the names have been changed.
‥…
作品冒頭ナレーションより
とご丁寧なナレーション入です。
偽装誘拐が実行された後、犯人目撃者が1人を「変な顔だった」と証言します。別の人に聴いても同じ表現で、それ以外の特徴が出てこないところは笑えました。
スティーヴ・ブシェミに対して失礼だろうと思いました。確かに二枚目ではないですが、変な顔以外に特徴がないとはどういうことでしょう。
もう一人のチンピラのピーター・ストーメア演じるゲアですが、とにかく無口でおとなしく、しかし切れるとすぐ人を殺してしまう凶暴な男。結局はスティーヴ・ブシェミ演じるカールも斧で殺されてしまいます。行動するときは殺人というキャラクターなのです。
そういうヘンテコな誘拐犯を追うのが、フランシス・マクドーマンドが演じるマージ・ガンダーソンという妊娠中の女性警官。この設定もおかしいですね。殺人犯を追う警官が妊婦だなんてありえないのですが、実話だと思って観てしまうと無理にでも納得しようと努力します。またこの女性警官が淡々とした態度で犯人を追い詰めていくのです。実際の警官は常に緊張している訳ではないので業務の一貫として事件を捌くこともあるとは思いますが、映画でそれを表現すると逆におかしく感じます。他にも細かいところで笑ってしまうところはたくさん盛り込まれています。
コーエン作品は、前回感想記事の『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』でもそうですが、「笑っていいのか悪いのか」というところを突いてきます。
まずは実話だと思って観賞し、次はフィクションと認識して観賞するという2度楽しめる作品でした。コーエン兄弟の創りだす世界観にハマってしまいました。
予告動画
関連記事