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映画 いくつもの感動と出会い

『わたしを離さないで』感想 原作アキラ・イシグロの臓器提供クローンの作品 ※ネタバレあり

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 ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ原作の作品です。肉体の提供用に作られたクローン人間の切なく深い生に対しての思いを描いた作品です。

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作品情報

公開:2010年

時間: 1時間45分

監督

eiga.com

主なキャスト

キャシー(キャリー・マリガン)

トミー(アンドリュー・ガーフィールド

ルース(キーラ・ナイトレイ)

あらすじ

寄宿学校ヘイルシャムで学ぶキャシー、トミー、ルースの3人は特別な子供として育てられる。彼らは臓器提供用として作られたクローン人間で、そのことをについても教師から教えられている。若い人生を終えなければならない彼らはどのようにその死を受け入れていくのだろうか

 

感想

TVドラマになっているようですが、今回の映画が初めての視聴になります。同じようにクローン人間を描いた作品で『アイランド』がありますが、『アイランド』よりもより深くクローンの心情を描いていて、臓器提供用クローンが自分たちの将来を知っていてもそれを受け入れています。

『アイランド』では臓器提供者になることから逃げ出すという内容でしたが、今作品は学校でクローンであることを教えられていて、数回の臓器摘出で静かに生涯を終えるというものです。

クローンが登場するにも関わらず時代設定を未来ではなく現在にしています。未来の技術であるクローンを題材にしていますが、現代社会の人間の生涯を比喩的に描いていると捉えました。

自分の肉体が見ず知らずの人間のために作られたものと知れば普通に考えれば反発するものと思いますが、学校で教育されているということで自分の一生をその決められた枠の中のものだと受け入れています。そうすることで誰かの役立っていると僅かばかりの喜びを感じて死を覚悟しています。

社会の枠の中でそれぞれ役割を担って生きているということは、クローンでも何でもない私たちでも同じとことです。

その規則に対して反発するかしないかも、その枠の中での教育に左右されるものなので、枠の外から見ればおかしなことでも枠の中では常識になってしまう。

かつての日本を思い浮かべても今では考えられない形で生涯を終えている人も大勢います。それは時代によって生きている規則が違うからです。国という枠でも規則が異なり生き方も違います。北朝鮮の報道を観てもそういう日本とは異なる枠を感じることはよよくあります。そしてそこに生きている人はしっかりと枠の規則を受け入れています。 

作品の大きな山場は、臓器提供を受け入れているクローンが人を愛することで延命を望むところです。生きる活力は喜びを感じ合える人と触れ合うことが一番なのかもしれません。子供の頃から自然と惹きつけ合ったキャシーとトミーは僅かの望みを掛け延命の申請を試みます。『アイランド』は、惹かれ合う二人は自分たちを待ち構える死から逃走しました。しかし、この作品は延命の申請はするのですが、そんな延命処置はないと知ると静かに死を受け入れます。観ている側は2人が延命に成功すること或いはそこから逃げだすことを期待するのですが、残念ながらそうはなりません。その静かに受け入れる姿が私たちの日常の姿なのです。

トミーは、延命という制度がないと知らされその帰り道で大きな声で泣き叫びます。

しかし、最後の臓器を提供する時、トミーは愛するキャシーが見守るなか穏やかに目を閉じます。キャシーと愛を確認することが出来たことでトミーは安らかに人生を終えことが出来たのです。

反発で新しい世界を作るのではなく、現状を受け入れその中で幸せを感じるというとても日本的な考えの作品でした。

予告動画 

youtu.be

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