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『ブレードランナー ファイナル・カット』感想 2019年の未来都市を描いたSF傑作 ※ネタバレあり

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 今年10月に『ブレードランナー 2049』が公開されるという事で、『ブレードランナーファイナル・カット』がTV放映されていました。この『ブレードランナー』という作品は、SFとしての魅力以外にも奥深い内容を描いた傑作です。

ポスター画像

作品情報

公開:2007年

時間:1時間57分

監督

SFファンに根強い人気を誇る『ブレードランナー』。監督は『エイリアン』、『オデッセイ』で有名なリドリー・スコット監督です。SF作品以外にも数々の名作を生み出している巨匠です。 

原作者 フィリップ・K・ディック

原作はSF作家フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』です。フィリップ・K・ディックの作品を原作にしている映画は、『ブレードランナー』以外にも『トータル・リコール』、『マイノリティ・リポート』などのヒット作品があります。SF好きなら要チェックの作家です。

主なキャスト

キャラクター

ブレードランナー(捜査官)

デッカード

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警察官

ガフ

レプリカント(人造人間)

ロイ・バッティ

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プリス

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リオン

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ゾーラ

レイチェル

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あらすじ 

舞台は様々な人種・文化が入り混ざって暮らしている2019年11月のロサンゼルス。環境破壊によって人間が住める区域も限られていて高層階への居住が主となっていた。

人間とほぼ同様の肉体を持つレプリカント(人造人間)は、自律型で成長する知能を備え付けられていた。過酷な宇宙開拓の労働用に造られた彼らだったが、成長する感情を持つようになり、やがて人間に反逆する者が現れるようになった。製造会社のタイレル社は彼らの寿命を4年間に設定することで、この問題を解決しようとしていたが、そのことに気付いた4体のレプリカントが人間に紛れて地球に忍び込んでいた。

人間との識別が難しい新型レプリカント(ネクサス6型)を探し出し解体(処刑)するために、かつての腕利きブレードランナー(捜査官)デッカードが捜査することを依頼される。

経緯

この作品は、1982年の公開後何度か再編成され公開されています。

1982年 『ブレードランナー』(1時間56分)

1993年 『ディレクターズカット/ブレードランナー 最終版』(1時間57分)(ユニコーンのシーンが追加)

2007年 『ブレードランナー ファイナル・カット』(1時間57分)(デジタル修正版)

何だか往生際が悪いような気もするのですけど、制作に当たっては金銭面などの問題もあり製作側からの制約も受けていたとの事です。1982年版では重要なシーンがカットされえています。しかし、こうやって最後まで自分の満足のいく作品に仕上げていくところはさすが名監督だなと感心してしまいます。

そして

2017年 『ブレードランナー 2049』

が公開されます。

1982年であれだけ拘った映像を作り上げたのですから『ブレードランナー 2049』も当然期待してしまいます。予告動画を見る限る少しイメージが違い嫌な予感もあるのですが、きっと素晴らしい映像を見せてくれる筈です。

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『ブレードランナー』の謎

『ブレードランナー 2049』のもう一つのお楽しみは 『ブレードランナー』の謎が明らかになるということです。

『ブレードランナー ファイナル・カット』でデッカードもレプリカントではないかということが話題になっています。捜査対象のレプリカントの数とユニコーンの謎めいた表現があったからです。

私はデッカードがレプリカントでない方がいいと思っているのですが、ラストシーンでデッカードの部屋の前にユニコーン(一角の馬)の折り紙あったということから、デッカード=レプリカントとなんだと感じています。

誰も知る由もないデッカードのユニコーンの妄想を警察官のガフが知っているという事をユニコーンの折り紙が表しているのではないかと考えています。

『デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー』では「デッカード=レプリカント構想」は監督を含め何人かのスタッフが制作中に発案したと語っています。『ブレードランナー 2049』でどのような結末にしているのか楽しみです。

制作秘話

制作中は大変だったようです。そのせいなのか主演のハリソン・フォードは数年間『ブレードランナー』について語らなかったようです。撮影で借りていたビルは日中はビジネスビルとして使われていたそうで、ほとんどが夜間撮影でしかも雨のシーンが多いことからびょしょ濡れでの撮影も多かったという事です。

また資金繰りに関しても相当苦労したらしく予算オーバーの責任でリドリー・スコット監督は一時外されたり、制作側が興業を気にして2時間以上のシーンを勝手にカットしたりと問題だらけの作品だったようです。

一旦断ったリドリー・スコット監督が『ブレードランナー』を撮るきっかけになったのは、その時期のお兄さんの死が影響しているそうです。確かに死について考えさせられる内容となっています。

以上の事は『デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー』で語られています。

 

感想

近未来都市

まず注目するのは視覚効果の高い映像です。1980年前半はCG技術が発達していない時代にこれだけの映像を残していることは素晴らしいです。『エイリアン』や『スター・ウォーズ』のような宇宙を舞台にした作品とは違い、未来都市という程遠くない世界観を提供しなくてはいけないという難しさはあったと思います。都市空間は模型を使用して撮影していますが、とても綺麗に仕上げられています。

未来のアイテム

また未来を想定したいくつかのアイテムも見どころに一つとなっています。銃、車、虹彩認識、画像認識などです。そして登場するほとんどの動物は遺伝子技術で作られた偽物ということでうが撮影では本物を起用しています。ヘビの鱗に製造番号が入っていたりするところも面白いところです。ファッションも未来的にしているのですが、今の時代ではあまり新しさは感じないものです。2019年が舞台になっていますので時代が映画に追いついて来たということなのでしょう。

死とは何か?生きるとは何か?

実は若い頃、この作品の良さがあまり解らず最後まで集中して観ることが出来ませんでした。それはその頃のSF映画にみられたスリル感に乏しく、内容も分かりづらく退屈さを感じてしまったからです。監督が同じという事で『エイリアン』と同じようなスリル感を期待しまっていました。同じように感じた人は多いと思います。実際に興行的には失敗しています。

しかし、何度か観るうちに芸術的な映像の陰に『生と死』という重要なテーマがあることに気付きます。

寿命を4年と定められてしまったレプリカントは、まだ自分の肉体の衰えがないにも拘わらず生涯を終えてしまう。当然疑問を抱くでしょう。そして、それを決めた人間を恨み、寿命を延ばす方法を探ります。彼らが人間だったら当たり前の行動です。

デッカードはレプリカントであるレイチェルに恋をします。そして死を迎えるレイチェルを自分と同じ人間として受け入れようとします。

リドリー・スコット監督は、『エイリアン』で有名になりましたがSF作品だけでなく『グラディエーター』や『テルマ&ルイーズ』のような感動のヒューマンドラマも制作しています。『ブレードランナー』は彼の芸術的なセンスと「生と死」という哲学的な要素が合わさったSF傑作です。デッカードは死を目前にしたレプリカントのロイにビルの屋上から転落寸前で死の恐怖を味わった後に救われます。(こんな情況を経験したあとは人生観が大きく変わると思います。) 

まとめ

制作秘話も多くいろいろと話題になる『ブレードランナー』。時代を先取りし過ぎたとして興行ではあまり振るわなかった作品ですが、視覚的映像だけではなく人間の普遍的テーマ「生と死」とは何かについて描かれている傑作です。私と同じように「面白くない」と感じて観ていない人も再度観てみると違った感じ方が出来ると思います。

予告動画

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