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『16ブロック』感想 アル中刑事が正義に目覚めるブルース・ウィリス出演作品 ※ネタバレあり

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16プロックという約1.6kmの護送でアル中で生気のない刑事が悪の一味に立ち向かっていきます。弱々しいのですがやっぱり強いブルース・ウィリスなんです。

ポスター画像

作品情報

公開:2006年

時間:1時間41分

監督

主なキャスト

刑事:ジャック・モーズリ(ブルース・ウィリス)

証人:エディ・バンカー(モス・デフ)

ジャックの親友の刑事:フランク・ニュージェント(デヴィッド・モース)

ダイアン・モーズリー(ジェナ・スターン)

ダン・グルーバー分署長(ケイシー・サンダー)

ジミー・マルヴィー(シルク・コザート)

ロバート・トーレス(デヴィッド・ザヤス)

オルティズ(コンラッド・プラ)

交渉人マイク・シーハン(ピーター・マクロビー)

マクドナルド地方検事補(ブレンダ・プレスリー)

あらすじ

ニューヨーク市警の落ちこぼれ刑事ジャックは、ある朝突然、裁判所への証人護送の任務を押しつけられる。護送の距離はわずか16ブロック(区画)だったが、護送中に何者かによって襲撃される……。

16ブロック : 作品情報 - 映画.com

 

感想

ブルース・ウィリスの刑事役で先ず思い浮かぶのは勇敢でヤンチャな『ダイ・ハード』のジョン・マックレーンですが、今作品はアル中で片足を引きずり、とてもじゃないが仕事はできないだろうという状態の刑事を演じています。

冒頭の痩せて細ったブルース・ウィリスを観て驚きますが、それは役作りでした。『サロゲート』(2009)では、髪を蓄え若くなった姿で驚かせてくれましたが、この作品は逆のパターンの老け姿です。

映画『サロゲート』感想 ブルース・ウィリス主演近未来のロボット社会 ※ネタバレあり - キネマの館

短くて遠い16ブロック

物語は、容疑者エディを裁判所へ移送する16ブロック(約1.6km)の区間で汚職警官たちの襲撃にあうというものです。警官たちはエディの証言を恐れ殺害を計画していました。人混みの多いニューヨークという街中で殺害というのも無理があるようにも思いますが、そこがこの作品の面白いところです。大都会だからこそ、たかだか16ブロックが遠くなってしまうのです。

飲んだくれから正義のヒーローへ

護送中であるにも関わらずお酒を買い飲まないとやっていけない程ひどいアル中のジャックが、店を出て証人エディが何者かに殺害されそうになった瞬間、飲んだくれ刑事から正義感の強い刑事にスイッチが入ります。この急展開がゾクゾクします。

悪徳警官映画

警官が組織ぐるみで汚職をし、それを隠蔽しようと罪を重ねるというのはアメリカ映画のお決まりのパターンです。次の記事で汚職警官作品5つ取り上げていますので覗いて下さい。

映画 『ダーティー・コップ』のように悪徳警官をテーマにしたサスペンス5作品 - キネマの館

しかし、アメリカは汚職警官の作品が多いですね。日本では警官の不祥事でニュースになったりしていますが、映画で汚職警官を描くことは少ない気がします。アメリカの警察と比較すると管理体制がしっかりしているからなのでしょうか、それとも日本は権力に対しての批判は控えないといけないのでしょうか。

 

デヴィッド・モースの悪役

汚職刑事を演じるデヴィッド・モースですが、『交渉人』では汚職警官ではない役でしたが、今回は見事悪役でした。どちらかと言うと善人顔ですので真の悪役は向いていないと思いますが、今作品は悪に成り切れない刑事でしたのであり持ち味は出ていました。

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悪からの離脱

ネタバレになりますが、このアル中警官ジャックも実は汚職警官で自分とエディを狙う汚職警官の仲間だったのです。

アル中でダメダメな刑事でも殺人という一線を越えてはいけないという信念があり、周りに流されず、仲間を敵に回しても一人のか弱い黒人青年を救うのです。こういうアウトロー的な正義感はブルース・ウィリスの得意とするところです。警官はそうあってもらいたいとは思いますが、自分の生活や立場があるので一度悪に手を染めると中々そこから抜け出すことは出来ないというのも分かる気がします。

小さな悪は私たちの社会の中の何処にでも生まれてきますので自分の心に手を当てながら観る他人事ではないのかもしれません。

護送されるエディはとてもよくしゃべり何事も前向きに捉えようとする人のいい青年です。彼と接することによりジャックの正義感は徐々に大きくなっていきます。

16ブロック(1.6km)のロード・ムービー

恵まれていない環境で育ってきたエディですがケーキ屋を開きたいという夢を持ち、どんな状況でも前向きに考えようとします。その姿勢がジャックの心に響き、正義の光に照らされていきます。

「人は生まれ変わることが出来る」

大勢の警官に囲まれたバスで最後を覚悟した時、エディがジャックに伝えたこの言葉。

ジャックは今までの自分が行ってきた罪の償いとエディを救うことを決心します。

たった16ブロックでのロード・ムービーです。

どうしようもない落ちこぼれ刑事が権力に圧し潰されそうになっている黒人青年を助け、逆にその青年は人生の行き場を失いかけた落ちこぼれ刑事に心を取り戻すきっかけを与えるのです。

ラストは、ジャックの誕生日パーティのシーンは微笑ましく、ブルース・ウィリスの血色も良くなりハッピーな終わりでした。

『ダイ・ハード』や『リーサル・ウェポン』のような迫力あるアクションは少ないのですが、建物の中や雑踏でのアクションが見物です。

予告動画

youtu.be

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