キネマの館(ヤカタ)

映画 いくつもの感動と出会い

映画『目撃』感想 大統領の不祥事を目撃すると恐ろしいことになってしまいます。 ※ネタバレあり

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前回の記事に続きイーストウッド監督作品です。監督兼主演という形で多くの作品を世に出しているのですが、自分の好きな脚本しか演じたくないという思いが強かったのでしょうか?まとまりのある作品が多く彼の作品はとても好きです。

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作品情報

公開:1997年

時間:2時間1分

監督

主なキャスト

 

名泥棒 ルーサー・ホイットニー:クリント・イーストウッド

大統領 アラン・リッチモンド:ジーン・ハックマン

刑事 セス・フランク:エド・ハリス

ルーサーの娘 ケイト・ホイットニー:ローラ・リニー

シークレットサービス ビル・バートン:スコット・グレン

シークレットサービス ティム・コリン:デニス・ヘイスバート

大統領補佐官 グロリア・ラッセル:ジュディ・デイヴィス

大統領の支援者 ウォルター・サリヴァン:E・G・マーシャル

ウォルターの妻 クリスティ・サリヴァン:メロラ・ハーディン

 

感想

国家権力を敵に回すとどうなるのか?しかも大統領の不祥事が絡んでいて、身代わりとして殺人犯に仕立て上げられそうになってしまうというちょっと不運なストーリーです。

名泥棒のルーサーが権力者サリヴァンの屋敷に忍び込み盗みを働こうとしていた時、大統領アランとサリヴァンの妻クリスティの不倫現場をマジックミラー越しに目撃してしまう。それだけでも衝撃的な現場なのですが趣向の不一致で激高したクリスティがアランに襲いかかりシークレットサービスに射殺されてしまう。

単なる目撃しただけなら何ごともなかったのですが、正義感からなのかそれも好奇心なのか現場に忘れられたクリスティがアランを刺したナイフを持ち去ってしまうのです。ここのところがルーサーが通常の人物と違うところ。普通は持ち去らないでしょう。こうやって感想を書いていると「何で持ち去ったんだ」と思ってしまします。

ルーサーが不倫現場をマジックミラー越しで見ているシーンやシークレットサービスに林の中を追われるシーンのスリルはなかなかのものです。特に逃走シーンでは老いたルーサーが呼吸を整え冷静さを失わずにギリギリでシークレットサービスを振り切りるというなかなかのスリルが味わえます。イーストウッドは演技でもカメラワークでも魅せてくれます。音の使い方も上手いのかなと感じてしまいます。

大統領とサリヴァン、シークレットサービスに命を狙われることとなったルーサーですが、娘のケイトに手が及んだところでもう交渉とかのレベルではなく「目には目を」の世界になってしまいます。

そして、いつの間にか名泥棒が正義になってしまっているではないですか。「人の物を盗むってそんなに悪いことではないんじゃないか?」そんな気さえ起こります。

イーストウッドが演じる泥棒は、とてもカッコ良い、そして立派な父親でした。

今作品は、イーストウッドの監督17作目の作品です。国という巨大権力に不当に命を狙われるというサスペンス作品です。彼の監督作品をいくつか見てみると1つのジャンルに囚われずにいろんなジャンルの作品を制作していることに気付きます。昨年公開された『ハドソン川の奇跡』では実話を忠実に再現して話題を呼びましたし、前回記事の『スペース・カウボーイ』ではユーモラスなSF作品でした。『許されざる者』の舞台はは西部劇です。引き出しが多いという表現でいいのでしょうか?とても器用な才能です。ただイーストウッド色はその作品にもしっかりと盛り込まれていてそれは普遍的な正義感のように感じます。今後しばらくはイーストウッドの作品を中心に観ていこうと思います。

予告動画

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