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映画『フライト』感想 彼は英雄で犯罪者 ※ネタバレあり

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昨日に続きデンゼル・ワシントン主演作品で『フライト』です。

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 (C)2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 作品情報

公開:2012年

時間:2時間18分

監督

私の好きな作品『リアル・スティール』を手掛けています。

主なキャスト

事故機の機長。元・アメリカ海軍パイロット:ウィップ・ウィトカー(デンゼル・ワシントン)

パイロット組合がウィップに用意した敏腕弁護士:ヒュー・ラング( ドン・チードル)

薬物依存症の女性。入院先でウィップと出会う:ニコール・マッゲン( ケリー・ライリー)

 

あらすじ

元・アメリカ海軍パイロットで現在民間旅客機を操縦するウィップ・ウィトカーは、飛行機操縦の腕前は一流でも私生活は酒とドラッグに溺れていて愛する家族とも離れ離れに暮らしていた。

ある日、ウィップが操縦するオーランドからアトランタ行きの航空機が、突然急降下を始め、制御不能となった航空機をウィップは背面飛行させ、胴体着陸という離れ業で乗客・乗員102名のうち96名の命を救った。ウィップは奇跡のパイロットとして一躍時の人となったが、国家運輸安全委員会による調査では血液中にアルコールとコカインの成分が検出される。ウィップは大量のアルコールとコカインの常習者となっていた。 

感想

この作品は、昨年『ハドソン川の奇跡』公開時に話題になっていたので観てみたいなと思っていました。

序盤は、『ハドソン川の奇跡』と同じような展開で機体の不備により飛行不能になり不時着で乗客の命を救い、機長は「奇跡のパイロット」として世間から注目を浴びます。しかし、ここからの話の流れが事故原因ではなく機長の隠れた醜態、アルコール依存症へと変わっていき、よりドラマチックなものとなっていきます。

機長ウィップは、大変なアルコール依存症だったのです。事故の直接の原因は整備ミスということなのですが飲酒しての操縦は重い罪に問われるもので直接ではないものの事実関係を明かさなければいけなくなるのです。認めれば長期間の収容です。

事故から多くの人命を救ったヒーローであるべき機長が、アルコール依存症であることが明らかになり追いつめられていく展開です。

アルコールや薬物の依存症は、「自分はいつでも止められる」と思ってしまっていることで自覚がないまま症状が進行する怖いものです。先日元プロ野球選手の清原氏のインタビューでも自分は依存症だと思っていなかったと語っています。依存症を認めないと周囲にウソをつき、どんどん負のスパイラルに入って陥っていく。ウィップは委員会から質問される日の前夜にホテルで酔いつぶれてしまうのです。初めて自分で依存症を自覚し恐怖を感じた時だったはずです。

この映画タイトルが「フライト」と航空事故を描いているようですがアルコール依存症の人が自覚するまでのことを描いた作品です。人というのは何らしかの依存性を持っていて当たり前だとおもいます。しかしそれが周囲に迷惑を掛けるものであったり、法を犯すものであってはいけないものです。社会人として立派な成果を上げていてもいずれ足を引っ張られることになります。予想外の展開だったので驚きましたが、依存症の怖さを知るにはいい作品でした。

チラシのキャッチフレーズが「彼は英雄か?犯罪者か?」となっていますが、「彼は英雄であり犯罪者。そしてアルコール依存症。」となるのでしょう。

 予告動画

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